- ✓ じんましんは皮膚に現れる一時的な発疹で、様々な原因によって引き起こされます。
- ✓ 治療の中心は抗ヒスタミン薬ですが、難治性の場合は生物学的製剤なども検討されます。
- ✓ 症状が続く場合は自己判断せず、皮膚科専門医への相談が重要です。
じんましん(蕁麻疹)は、皮膚の一部が突然赤く盛り上がり、強いかゆみを伴う発疹(膨疹)が特徴的な皮膚疾患です。多くの場合、数時間以内に跡を残さずに消えるのが特徴ですが、繰り返し症状が現れることもあります。この記事では、じんましんの主な原因と種類、そして適切な治療法について詳しく解説します。
じんましん(蕁麻疹)の原因と種類とは?

じんましんは、皮膚の肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されることで起こる皮膚反応です。このセクションでは、じんましんがなぜ発生するのか、そのメカニズムと様々な種類について解説します。臨床の現場では、初診時に「何が原因でこんな症状が出たのか」と相談される患者さまも少なくありません。
じんましんの主な原因は何ですか?
じんましんの原因は多岐にわたり、大きく分けて「急性じんましん」と「慢性じんましん」に分類されます。全体の約70%のじんましんは原因が特定できない「特発性じんましん」とされています[3]。しかし、残りの30%には特定の原因が存在します。
- アレルギー性じんましん: 特定の食物(甲殻類、卵、牛乳、そばなど)、薬剤(抗生物質、解熱鎮痛薬など)、昆虫の毒などが原因で、アレルギー反応として発症します。原因物質に触れたり摂取したりすることで、数分から数時間以内に症状が現れます。
- 非アレルギー性じんましん: アレルギー反応を介さずに肥満細胞が刺激されることで起こります。例として、細菌やウイルスの感染、疲労、ストレス、物理的な刺激などが挙げられます。
- 物理性じんましん: 寒冷、温熱、日光、圧迫、摩擦、振動などの物理的な刺激によって引き起こされます[4]。例えば、冷たい水に触れた後に発疹が出る「寒冷じんましん」や、皮膚を掻いたり擦ったりした部位に線状に膨疹が出る「機械性じんましん(皮膚描記症)」などがあります。
- コリン性じんましん: 運動や入浴などで体温が上昇し、汗をかいた時に小さな膨疹が多数出現します。アセチルコリンという神経伝達物質が関与していると考えられています。
- 血管性浮腫: じんましんと同様のメカニズムで、皮膚の深い部分や粘膜が腫れる状態です。かゆみよりも痛みや圧迫感を伴うことが多く、唇や眼瞼、舌、喉などに生じると呼吸困難を伴う重篤な状態になることもあります。
- 膨疹(ぼうしん)
- 皮膚の表面が蚊に刺されたように赤く盛り上がり、境界がはっきりしている一時的な発疹のこと。通常、数時間以内に消退し、痕を残しません。
急性じんましんと慢性じんましんの違いは何ですか?
じんましんは、症状の持続期間によって急性じんましんと慢性じんましんに分類されます。
- 急性じんましん: 症状が6週間以内に治まるものを指します。多くの場合、特定の原因(食物、薬剤、感染症など)が特定できることがあります。小児に多く見られ、原因が除去されれば比較的早く治癒することが期待できます。
- 慢性じんましん: 症状が6週間以上、毎日またはほぼ毎日繰り返し現れるものを指します。慢性じんましんの約80%は原因が特定できない「慢性特発性じんましん(CSU)」とされています[2]。当院では、この慢性特発性じんましんで長年お悩みの方が多くいらっしゃいます。原因不明とされることが多いですが、ストレスや疲労、自己免疫疾患などが関与している可能性も指摘されています。
じんましんの症状が広範囲に及ぶ場合や、呼吸困難、意識障害、血圧低下などの全身症状を伴う場合は、アナフィラキシーショックの可能性があり、緊急の医療処置が必要です。すぐに医療機関を受診してください。
じんましん(蕁麻疹)の治療法とは?

じんましんの治療は、症状の緩和と原因の特定・除去が主な目的となります。特に慢性じんましんでは、症状をコントロールし、患者さまの生活の質(QOL)を維持することが重要です。実際の診療では、患者さま一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた治療計画を立てることが重要なポイントになります。
じんましんの治療にはどのような薬が使われますか?
じんましんの治療の中心となるのは、ヒスタミンの作用を抑える「抗ヒスタミン薬」です。症状の重症度や経過に応じて、様々な薬剤が選択されます。
- 抗ヒスタミン薬(第二世代): 現在、じんましん治療の第一選択薬とされています。眠気などの副作用が少ないように改良されており、長期的な服用が可能です。レボセチリジン[6]、フェキソフェナジン、ロラタジンなどが代表的です。症状が改善しない場合は、用量を増やすこともあります。
- 抗ヒスタミン薬(第一世代): 強い抗ヒスタミン作用を持ちますが、眠気や口渇などの副作用が出やすい傾向があります。症状が特にひどい場合や、第二世代抗ヒスタミン薬で効果が不十分な場合に、短期間または就寝前に使用されることがあります。
- H2ブロッカー: 胃酸分泌を抑える薬として知られていますが、皮膚のヒスタミン受容体にも作用し、じんましんのかゆみを軽減する効果が期待できます。抗ヒスタミン薬と併用されることがあります。
- ステロイド薬: 強い抗炎症作用を持つため、症状が非常に重い場合や、他の治療で効果が得られない場合に短期間使用されます。長期的な使用は副作用のリスクがあるため、慎重な検討が必要です。
難治性じんましんにはどのような治療法がありますか?
慢性じんましんの中でも、抗ヒスタミン薬を増量しても効果が不十分な場合は「難治性慢性じんましん」と診断され、より専門的な治療が検討されます。このようなケースでは、当院でも生物学的製剤の導入を検討することがあります。
- 生物学的製剤(オマリズマブなど): 免疫グロブリンE(IgE)という物質の働きを抑えることで、じんましんの症状を改善する注射薬です。難治性の慢性特発性じんましんに対して効果が報告されており[1]、抗ヒスタミン薬で症状がコントロールできない場合の選択肢となります[5]。治療を始めて数ヶ月ほどで「かゆみが劇的に減った」「夜眠れるようになった」とおっしゃる方が多いです。
- 免疫抑制剤: 免疫系の過剰な反応を抑えることで、じんましんの症状を軽減します。ステロイド薬と同様に、副作用のリスクを考慮しながら慎重に用いられます。
- 紫外線療法(PUVA療法など): 特定の波長の紫外線を皮膚に照射することで、免疫反応を調整し、じんましんの症状を改善する治療法です。
| 治療段階 | 主な薬剤 | 特徴・考慮点 |
|---|---|---|
| 第一選択 | 第二世代抗ヒスタミン薬 | 眠気が少なく、長期服用が可能。効果不十分なら増量検討。 |
| 第二選択(難治性) | 生物学的製剤(オマリズマブ) | 抗ヒスタミン薬で効果不十分な慢性じんましんに有効。注射薬。 |
| 補助・短期 | 第一世代抗ヒスタミン薬、ステロイド薬 | 眠気や副作用に注意。症状が強い場合に一時的に使用。 |
日常生活でできる対策はありますか?
薬物療法と並行して、日常生活での工夫もじんましんの症状緩和に役立ちます。
- 原因の特定と回避: 特定の食物や薬剤、物理的刺激が原因である場合は、それらを避けることが最も重要です。食物日誌をつけることで、原因を特定しやすくなることがあります。
- ストレス管理: ストレスはじんましんを悪化させる要因の一つです。十分な睡眠、適度な運動、リラックスできる時間を作るなど、ストレスを軽減する工夫が大切です。
- 皮膚の保湿と刺激の軽減: 乾燥した皮膚はかゆみを増悪させることがあります。保湿剤を適切に使用し、締め付けの強い衣類や摩擦を避けることで、皮膚への刺激を減らすことができます。
- 体温管理: コリン性じんましんの場合は、急激な体温上昇を避けるために、激しい運動や熱いお風呂を控えるなどの対策が有効です。
じんましんは、その原因や症状のタイプによって治療法が異なります。自己判断せずに、皮膚科専門医の診察を受け、適切な診断と治療計画を立てることが重要です。特に慢性じんましんの場合、長期的な治療が必要となることもありますが、適切な治療により症状をコントロールし、快適な日常生活を送ることが期待できます。
まとめ

じんましんは、皮膚の肥満細胞から放出されるヒスタミンなどが原因で、赤く盛り上がったかゆい発疹(膨疹)が一時的に現れる皮膚疾患です。急性じんましんは短期間で治まることが多いですが、6週間以上続く場合は慢性じんましんと診断されます。原因はアレルギー、物理的刺激、感染症、ストレスなど多岐にわたりますが、多くは原因不明の特発性じんましんです。
治療の中心は、ヒスタミンの作用を抑える第二世代抗ヒスタミン薬です。症状が改善しない場合は、用量の増量や、生物学的製剤(オマリズマブなど)の使用が検討されます。日常生活では、原因の特定と回避、ストレス管理、皮膚の保湿などが症状緩和に役立ちます。じんましんの症状でお困りの場合は、自己判断せずに皮膚科専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
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- Torsten Zuberbier, Luis Felipe Ensina, Ana Giménez-Arnau et al.. Chronic urticaria: unmet needs, emerging drugs, and new perspectives on personalised treatment.. Lancet (London, England). 2024. PMID: 39004090. DOI: 10.1016/S0140-6736(24)00852-3
- Sarbjit S Saini, Allen P Kaplan. Chronic Spontaneous Urticaria: The Devil’s Itch.. The journal of allergy and clinical immunology. In practice. 2019. PMID: 30033911. DOI: 10.1016/j.jaip.2018.04.013
- Torsten Zuberbier, Marcus Maurer. Urticaria: current opinions about etiology, diagnosis and therapy.. Acta dermato-venereologica. 2007. PMID: 17533484. DOI: 10.2340/00015555-0240
- Sheila M McSweeney, Evangelos A A Christou, Marcus Maurer et al.. Physical urticaria: Clinical features, pathogenesis, diagnostic work-up, and management.. Journal of the American Academy of Dermatology. 2023. PMID: 37001733. DOI: 10.1016/j.jaad.2023.02.062
- ゾレア(オマリズマブ)添付文書(JAPIC)
- レボセチリジン 添付文書 – PMDA(医薬品医療機器総合機構)
