- ✓ 水虫は白癬菌という真菌が皮膚に感染して起こり、足白癬、爪白癬など様々な種類があります。
- ✓ 治療は抗真菌薬の外用薬や内服薬が中心で、症状や部位によって適切な方法を選択します。
- ✓ 完治には根気強い治療と再発予防のための生活習慣の見直しが不可欠です。
水虫(医学的には白癬と呼ばれます)は、皮膚の表面に真菌(カビの一種)が感染することで生じる病気です。特に足の指の間や足裏に多く見られますが、爪や体の他の部位にも発生することがあります。この疾患は、不快な症状を引き起こすだけでなく、放置すると悪化し、日常生活に支障をきたす可能性もあります。
水虫の種類と症状とは?

水虫は、白癬菌と呼ばれる真菌が皮膚の角質層や爪に感染することで発症します。臨床の現場では、初診時に「ただの乾燥だと思っていた」と相談される患者さまも少なくありませんが、実は水虫だったというケースをよく経験します。
水虫(白癬)の主な原因は何ですか?
水虫の主な原因は、皮膚糸状菌という種類の真菌、特にトリコフィトン属の白癬菌の感染です。これらの真菌は、高温多湿な環境を好むため、靴の中や浴室の足拭きマットなど、湿気がこもりやすい場所で繁殖しやすい性質があります。感染経路としては、水虫に感染している人との直接的な接触や、公共の場所(プール、温泉、ジムのロッカールームなど)の床やマットを介して感染することが多いとされています[1]。
- 湿度と温度: 白癬菌は湿度70%以上、温度15℃〜30℃の環境で活発に増殖します。靴や靴下で覆われた足は、この条件を満たしやすいため、感染リスクが高まります。
- 免疫力の低下: 糖尿病や免疫抑制剤の使用などにより免疫力が低下している場合、感染しやすくなったり、症状が悪化しやすくなったりすることがあります。
- 皮膚のバリア機能の低下: 足に傷があったり、乾燥などで皮膚のバリア機能が低下していると、菌が侵入しやすくなります。
水虫の主な種類と症状はどのように異なりますか?
水虫は感染部位や症状によっていくつかのタイプに分類されます。当院では、患者さまの症状を詳しく伺い、適切な診断と治療に繋げるよう努めています。
- 足白癬(あしはくせん)
- 最も一般的な水虫で、足の裏や指の間に発生します。主に以下の3つのタイプがあります。
- 趾間型(しかんがた): 足の指の間、特に第4趾と第5趾の間に多く見られます。皮膚が白くふやけたり、赤くただれたり、かゆみを伴ったりします。ひどくなるとジュクジュクして亀裂が生じ、痛みを感じることもあります。
- 小水疱型(しょうすいほうがた): 足の裏や縁に小さな水ぶくれ(水疱)が多数発生します。強いかゆみを伴うことが多く、水疱が破れると皮膚がむけたり、ジクジクしたりします。夏場に悪化しやすい傾向があります。
- 角質増殖型(かくしつぞうしょくがた): 足の裏全体、特にかかとが乾燥して厚くなり、ひび割れが生じることがあります。かゆみは少ないことが多く、症状が軽いため水虫と気づかないケースも少なくありません。冬場に悪化しやすい傾向があります。
- 爪白癬(つめはくせん)
- 爪に白癬菌が感染した状態です。足白癬を放置すると爪白癬に移行することが多く、全体の約50%の足白癬患者に爪白癬が合併するとも言われています[4]。爪が白く濁ったり、黄色く変色したり、厚くなったり、もろくなってボロボロになったりします。痛みやかゆみは少ないことが多いですが、進行すると爪が変形し、歩行時に痛みを感じることもあります。治療が難しく、長期間を要する傾向があります。
- 体部白癬(たいぶはくせん)
- 体幹や四肢に発生する水虫です。環状に広がる赤い斑点が特徴で、縁が盛り上がり、かゆみを伴うことが多いです。股部に発生した場合は「股部白癬(いんきんたむし)」と呼ばれます。
- 頭部白癬(とうぶはくせん)
- 頭皮に発生する水虫で、主に小児に多く見られます。フケやかゆみ、脱毛を引き起こすことがあります。近年では、ペットからの感染も報告されています。
これらの症状が見られる場合、自己判断せずに皮膚科を受診し、適切な診断を受けることが重要です。特に爪白癬は見た目ではわかりにくく、他の疾患と区別がつきにくい場合もあります。
水虫の治療法とは?

水虫の治療は、感染している真菌の種類や部位、症状の程度によって異なります。実際の診療では、患者さまのライフスタイルや既往歴も考慮し、最も効果的で継続しやすい治療法を提案することが重要なポイントになります。
水虫の診断方法と治療の基本方針は何ですか?
水虫の診断は、症状の視診に加え、患部から採取した皮膚や爪の一部を顕微鏡で観察し、白癬菌の有無を確認する「直接鏡検」が一般的です。この検査は数分で完了し、正確な診断に不可欠です。当院では、診断の正確性を高めるため、必ずこの検査を行います。自己判断で市販薬を使用する前に、正確な診断を受けることが重要です。
治療の基本方針は、抗真菌薬を用いて白癬菌を死滅させることです。症状が改善しても自己判断で治療を中断すると再発しやすいため、医師の指示に従い、根気強く治療を続けることが大切です[2]。
水虫の具体的な治療薬にはどのようなものがありますか?
水虫の治療薬は、主に外用薬と内服薬に分けられます。
外用薬による治療
軽度から中程度の足白癬に用いられることが多く、クリーム、軟膏、液剤、スプレーなど様々な剤形があります。主な有効成分としては、アゾール系(例:ミコナゾール、ラノコナゾール)、アリルアミン系(例:テルビナフィン)、モルホリン系(例:アモロルフィン)などがあります。これらの薬剤は、白癬菌の細胞膜の合成を阻害することで増殖を抑えたり、殺菌したりします[1]。
- 使用方法: 症状が改善しても、菌が完全にいなくなるまで1ヶ月〜数ヶ月間は塗布を続ける必要があります。広い範囲に薄く、毎日欠かさず塗ることが重要です。
- 注意点: かゆみがなくても菌は残っていることが多いため、医師の指示に従い治療を継続してください。
内服薬による治療
爪白癬や広範囲にわたる足白癬、外用薬で効果が見られない場合に検討されます。内服薬は体の内側から作用し、爪の奥深くにまで薬剤成分が届くため、外用薬では治療が難しい爪白癬に特に有効です。主な有効成分には、テルビナフィン、イトラコナゾールなどがあります[2]。
- テルビナフィン: 毎日服用し、約3〜6ヶ月間継続します。高い有効性が報告されています。
- イトラコナゾール: パルス療法という、一定期間服用し、休薬期間を設ける方法が用いられることがあります[3]。
| 治療法 | 主な対象 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|---|
| 外用薬 | 足白癬(軽度〜中度) | 副作用のリスクが低い、手軽に始められる | 効果が出るまで時間がかかる、塗布を継続する必要がある、爪白癬には効果が限定的 |
| 内服薬 | 爪白癬、広範囲の足白癬、外用薬で効果がない場合 | 高い有効性、爪の奥まで届く | 副作用(肝機能障害など)のリスク、併用禁忌薬がある場合がある、定期的な血液検査が必要 |
内服薬を使用する際は、肝機能障害などの副作用のリスクがあるため、定期的な血液検査が必要になることがあります。また、他の薬剤との飲み合わせに注意が必要な場合もありますので、必ず医師や薬剤師に相談してください。
水虫の治療期間はどのくらいですか?
水虫の治療期間は、感染の種類や重症度によって大きく異なります。足白癬の場合、外用薬を毎日塗布することで数週間から数ヶ月で症状が改善することが期待できます。しかし、臨床の現場では、治療を始めて1ヶ月ほどで「かゆみがなくなったから」と自己判断で中断し、数ヶ月後に再発して来院される方が多いです。菌が完全に死滅するまでには、症状が消えてからもさらに数週間から数ヶ月の継続治療が必要です。
特に爪白癬の治療は長期間にわたります。爪は非常にゆっくりと成長するため、新しい健康な爪が生え変わるまでには、足の爪で約6ヶ月〜1年、手の爪で約3〜6ヶ月かかると言われています。内服薬を使用した場合でも、この期間は治療を継続する必要があり、完治には根気が必要です。治療を中断すると、残った菌が再び増殖し、再発のリスクが高まります。医師の指示に従い、最後まで治療を続けることが完治への鍵となります。
水虫の再発を防ぐための対策はありますか?
水虫は一度治っても、適切な予防策を講じなければ再発しやすい疾患です。再発を防ぐためには、日常生活での注意が非常に重要です。
- 足を清潔に保つ: 毎日石鹸で丁寧に洗い、特に指の間をよく洗いましょう。洗った後は、タオルで水分をしっかり拭き取ることが大切です。
- 足の乾燥を心がける: 靴下は吸湿性の良い綿や5本指ソックスを選び、毎日交換しましょう。靴は通気性の良いものを選び、同じ靴を毎日履かずに数足を交互に履くことで、靴の中を乾燥させることが推奨されます。
- 公共の場所での注意: プールや温泉、ジムのロッカールームなどでは、素足での歩行を避け、サンダルなどを着用しましょう。
- 家族内感染の予防: 家族に水虫の人がいる場合は、バスマットやスリッパ、タオルなどを共有しないように注意し、感染を広げない工夫が必要です。
これらの対策は、治療中だけでなく、完治後も継続することで、水虫の再発リスクを低減することに繋がります。
まとめ

水虫(白癬)は、白癬菌という真菌が皮膚や爪に感染することで発症する疾患です。足白癬、爪白癬など様々な種類があり、それぞれ症状や治療法が異なります。診断には直接鏡検が不可欠であり、自己判断での治療は再発のリスクを高める可能性があります。治療は抗真菌薬の外用薬や内服薬が中心となりますが、症状や部位、患者さまの状態に応じて適切な薬剤が選択されます。特に爪白癬の治療は長期にわたることが多く、根気強い継続が求められます。完治後も再発予防のために、足の清潔・乾燥を保つ、公共の場での注意、家族内感染予防などの生活習慣の見直しが重要です。症状に気づいたら、早めに皮膚科を受診し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。
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- John W Ely, Sandra Rosenfeld, Mary Seabury Stone. Diagnosis and management of tinea infections.. American family physician. 2016. PMID: 25403034
- Aleksandra Barac, Mihailo Stjepanovic, Snjezana Krajisnik et al.. Dermatophytes: Update on Clinical Epidemiology and Treatment.. Mycopathologia. 2024. PMID: 39567411. DOI: 10.1007/s11046-024-00909-3
- J Q Del Rosso. Treatment of onychomycosis and tinea pedis with intermittent itraconazole therapy.. The Journal of the American Osteopathic Association. 1996. PMID: 8936929
- Shari R Lipner, Richard K Scher. Management of onychomycosis and co-existing tinea pedis.. Journal of drugs in dermatology : JDD. 2016. PMID: 25942668
- オラビ(ミコナゾール)添付文書(JAPIC)
- アスタット(ラノコナゾール)添付文書(JAPIC)
- イトラコナゾール(イトラコナゾール)添付文書(JAPIC)
