ケロイド・肥厚性瘢痕の原因と治療

【ケロイド・肥厚性瘢痕の原因と治療】|専門医が解説

最終更新日: 2026-04-17
📋 この記事のポイント
  • ✓ ケロイドと肥厚性瘢痕は異なる病態であり、それぞれに特徴的な原因と症状があります。
  • ✓ 治療は保存療法から外科的治療まで多岐にわたり、患者さまの状態に合わせた個別のアプローチが重要です。
  • ✓ 早期の診断と適切な治療介入が、症状の改善と再発予防につながります。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

ケロイドと肥厚性瘢痕は、皮膚の傷が治る過程で異常な組織増殖が生じる状態を指しますが、両者には明確な違いがあります。これらの病態を正しく理解し、適切な治療を選択することが、見た目の改善だけでなく、かゆみや痛みといった症状の緩和にも繋がります。

ケロイドの基礎知識と症状

皮膚に盛り上がって広がるケロイドの症状、赤みと痒みを伴う皮膚病変
ケロイドの典型的な症状

ケロイドは、皮膚の損傷後に生じる過剰な瘢痕組織(傷跡の組織)が、元の傷の範囲を超えて周囲の正常な皮膚にまで広がる特徴を持つ病変です。肥厚性瘢痕とは異なり、自然に退縮することは稀で、再発しやすい傾向があります。

ケロイドと肥厚性瘢痕の違いとは?

ケロイドと肥厚性瘢痕は、どちらも傷跡が盛り上がる状態ですが、その性質には重要な違いがあります。肥厚性瘢痕は、傷の範囲内に留まって盛り上がり、時間とともに自然に平坦化する傾向が見られます。これに対し、ケロイドは傷の範囲を超えて周囲の正常な皮膚にまで浸潤するように増殖し、自然に改善することはほとんどありません。また、ケロイドはかゆみや痛みを伴うことが多く、触ると硬いゴムのような感触が特徴です。

ケロイド
皮膚の損傷後に、元の傷の範囲を超えて周囲の正常な皮膚にまで浸潤・増殖する異常な瘢痕組織。自然退縮は稀で、再発しやすい。
肥厚性瘢痕
皮膚の損傷後に、元の傷の範囲内に留まって盛り上がる瘢痕組織。時間とともに自然に平坦化する傾向がある。

ケロイドの主な原因は何ですか?

ケロイドの発生には、遺伝的要因、人種、そして体の部位が複雑に絡み合っています。特に、胸骨部、肩、耳介、下顎部などはケロイドが発生しやすい部位として知られています。また、ニキビ跡、虫刺され、ピアス穴、手術痕、外傷、火傷など、皮膚に炎症を伴う損傷が引き金となることが多いです。当院では、初診時に「ピアスを開けたら耳たぶが大きく膨らんでしまった」と相談される患者さまも少なくありません。皮膚の張力がかかりやすい部位や、炎症が持続しやすい部位では、線維芽細胞という細胞が過剰に増殖し、コラーゲンが異常に産生されることが原因と考えられています。この線維芽細胞の過剰な増殖には、TGF-β/Smadシグナル経路などの分子メカニズムが関与していることが示唆されています[4]

ケロイドの症状はどのように現れますか?

ケロイドの症状は、見た目の問題だけでなく、患者さまの日常生活に大きな影響を与えることがあります。主な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 盛り上がりと拡大: 傷跡が赤みや紫色を帯びて盛り上がり、元の傷の範囲を超えて周囲に広がります。
  • かゆみと痛み: 多くの患者さまが、ケロイド部位に強いかゆみやチクチクとした痛みを訴えます。特に、衣服との摩擦や温度変化で悪化することがあります。
  • 硬さ: 触るとゴムのように硬く、弾力がないのが特徴です。
  • 引きつれ: 関節部などにできると、皮膚の引きつれにより関節の動きが制限されることがあります。

これらの症状は、患者さまの精神的な負担になることも多く、早期に専門医に相談することが重要です。

項目ケロイド肥厚性瘢痕
増殖範囲元の傷を超えて拡大元の傷の範囲内
自然退縮時間とともに平坦化傾向
かゆみ・痛み強いことが多い軽度またはなし
触感硬いゴム状硬いがケロイドほどではない
再発傾向高い低い

ケロイドの治療法

ケロイド治療で使われるステロイド注射器と軟膏、患部に直接アプローチ
ケロイドの治療法と薬剤

ケロイドの治療は、その特性上、単一の治療法で完結することは少なく、複数のアプローチを組み合わせることが一般的です。患者さまのケロイドの状態、発生部位、症状の程度、過去の治療歴などを総合的に判断し、最適な治療計画を立てます。

ケロイド治療の選択肢にはどのようなものがありますか?

ケロイドの治療法は多岐にわたり、保存的治療から外科的治療まで、様々な方法が確立されています。臨床の現場では、患者さまのライフスタイルや期待する効果を考慮しながら、最適な治療法を提案することが重要です。主な治療法には以下のようなものがあります。

  • ステロイド注射(局所注射): ケロイド内に直接ステロイドを注射することで、炎症を抑え、線維芽細胞の増殖を抑制し、ケロイドの盛り上がりや硬さを改善する効果が期待できます。数週間から数ヶ月おきに繰り返し行うことが多いです。
  • シリコンゲルシート・テープによる圧迫療法: ケロイド部位にシリコン製のシートやテープを貼ることで、物理的な圧迫と保湿効果により、ケロイドの成長を抑制し、平坦化を促します。特に初期のケロイドや肥厚性瘢痕に有効とされています。
  • 内服薬: 抗アレルギー薬やかゆみ止め、トラニラストなどの内服薬が、かゆみや炎症の緩和、ケロイドの増殖抑制に用いられることがあります。
  • 外科的切除: ケロイドを外科的に切除する方法です。しかし、単独で行うと高確率で再発するため、術後に放射線療法やステロイド注射、圧迫療法などを組み合わせることが不可欠です[2]
  • 放射線療法: 外科的切除後の再発予防として、あるいは単独でケロイドの増殖を抑制するために行われることがあります。特に、切除後早期に放射線を照射することで、再発率を低減できると報告されています[3]
  • レーザー治療: 色素レーザー(Vビームなど)はケロイドの赤みを軽減し、盛り上がりを改善する効果が期待できます。フラクショナルレーザーは、ケロイド組織の線維化を改善し、薬剤の浸透を助ける目的で用いられることもあります[1]
  • 凍結療法: 液体窒素を用いてケロイド組織を凍結・壊死させる治療法です。特に小さなケロイドや難治性のケロイドに適用されることがあります。

治療期間はどのくらいかかりますか?

ケロイドの治療期間は、ケロイドの大きさ、発生からの期間、選択する治療法、そして患者さまの体質によって大きく異なります。一般的に、ケロイドは慢性的な経過をたどるため、数ヶ月から数年にわたる継続的な治療が必要となることが多いです。例えば、ステロイド注射や圧迫療法は、効果を維持するために定期的な通院が求められます。外科的切除後の再発予防のための治療も、数ヶ月から1年程度の期間を要することがあります。治療を始めて数ヶ月ほどで「かゆみが楽になった」「少し柔らかくなってきた」とおっしゃる方が多いですが、見た目の改善にはさらに時間がかかることをご理解いただく必要があります。

⚠️ 注意点

ケロイドの治療は根気が必要であり、一度治療が成功しても再発する可能性があります。そのため、治療後の経過観察も非常に重要です。自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従って継続することが大切です。

治療後の再発予防策はありますか?

ケロイドは再発しやすい性質を持つため、治療後の再発予防が非常に重要です。実際の診療では、治療効果を維持し、再発を防ぐための継続的なケアが重要なポイントになります。主な予防策としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 圧迫療法・シリコンシートの継続: 治療後も長期間にわたりシリコンゲルシートやテープによる圧迫を続けることで、ケロイドの再発を抑制する効果が期待できます。
  • 保湿ケア: 乾燥は皮膚のバリア機能を低下させ、炎症を誘発する可能性があるため、ケロイド部位の保湿を心がけることが大切です。
  • 紫外線対策: 紫外線は色素沈着を悪化させたり、炎症を誘発したりする可能性があるため、日焼け止めや衣服でケロイド部位を保護することが推奨されます。
  • 刺激の回避: 衣服の摩擦や掻きむしりなど、ケロイド部位への物理的な刺激を避けることが重要です。
  • 定期的な診察: 治療後も定期的に医師の診察を受け、ケロイドの状態をチェックしてもらうことで、早期に再発の兆候を発見し、適切な対応をとることが可能になります。

まとめ

ケロイドと肥厚性瘢痕の違いを比較する図、適切な治療選択の重要性
ケロイドと肥厚性瘢痕の比較

ケロイドと肥厚性瘢痕は、皮膚の傷跡が異常に増殖する病態ですが、その性質や治療法には違いがあります。ケロイドは元の傷の範囲を超えて広がり、かゆみや痛みを伴うことが多く、自然に改善することは稀です。原因は遺伝的要因や特定の部位への損傷が関与し、線維芽細胞の過剰な増殖が背景にあります。治療法はステロイド注射、圧迫療法、内服薬、外科的切除、放射線療法、レーザー治療、凍結療法など多岐にわたり、これらを組み合わせて行うことが一般的です。治療期間は長期にわたることが多く、再発予防のためには治療後の継続的なケアと定期的な診察が不可欠です。早期に専門医に相談し、ご自身の状態に合わせた最適な治療計画を立てることが、症状の改善と生活の質の向上につながります。

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よくある質問(FAQ)

ケロイドは体質によってできやすいというのは本当ですか?
はい、ケロイドは体質的な要因が強く関与すると考えられています。特に、アフリカ系やアジア系の人種に多く見られる傾向があり、家族歴がある場合も発生リスクが高まります。また、胸骨部、肩、耳介など特定の部位にできやすいことも知られています。
ケロイドの治療は保険適用されますか?
多くのケロイド治療は、病的な状態の改善を目的とするため保険適用となります。具体的には、ステロイド注射、内服薬、圧迫療法、外科的切除、放射線療法などが保険適用となることが多いです。ただし、レーザー治療の一部など、自由診療となる治療もありますので、事前に医療機関にご確認ください。
ケロイドを自分で治す方法はありますか?
ケロイドは進行性の病変であり、自然に治癒することは稀です。市販薬や民間療法で完全に治すことは難しいと考えられます。かえって症状を悪化させる可能性もあるため、自己判断での治療は避け、早期に皮膚科や形成外科などの専門医を受診し、適切な診断と治療を受けることを強くお勧めします。
ケロイドの予防のためにできることはありますか?
ケロイド体質の方は、皮膚に傷を作ることをできるだけ避けることが重要です。ピアス、タトゥー、不必要な手術などは慎重に検討してください。もし傷ができてしまった場合は、早期に医療機関を受診し、適切な創傷ケアを受けることで、ケロイドや肥厚性瘢痕への進展リスクを低減できる可能性があります。また、傷が治癒する過程で赤みや盛り上がりが生じ始めたら、すぐに専門医に相談することが大切です。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長