乾癬とは
乾癬は皮疹を伴う慢性の皮膚疾患です。皮膚が赤くなり、盛り上がったところに白いかさぶた(鱗屑)ができます。
乾癬は皮膚のターンオーバーが異常に早くなり、通常45日周期のところが4~7日周期と10倍近いスピードで表皮が増殖します。
青年期〜中年の男性に比較的多く発症し、症状の軽快と悪化を繰り返す難治性疾患です。
乾癬の種類
乾癬は症状によって5つの種類に分類されます。
尋常性乾癬
尋常性乾癬は、乾癬全体の90%を占める代表的な病気です。
乾癬性関節炎
乾癬の影響で関節部分に腫れや痛みなどの症状が現れます。乾癬患者の3~10%に見られます。
滴状乾癬
全身に水滴のような丸くて小さい発疹が現れます。扁桃腺炎や薬剤によって引き起こされることがあり、子供や若い人に見られることが多いです。
乾癬性紅皮症
尋常性乾癬が全身に広がり、体全体が赤くなっている状態です。乾癬患者の中でも非常に珍しい病気です。
膿疱性乾癬
難病に指定されているほど稀な病気で、発熱や悪寒とともに膿の溜まった発疹が多数出現します。
乾癬の症状
乾癬になると皮膚が赤くなったり(紅斑)、盛り上がったりします(肥厚)。また、その表面を覆っているかさぶたがボロボロと剥がれ落ちてきます(鱗屑・落屑)。
無理にかさぶたを剥がすと点状の出血が見られることがあります。また、およそ半数の患者は痒みを伴い、入浴等で体が温まると痒みが起きやすくなります。
皮膚にできることが大半ですが、爪の変形などの症状も見られることがあります。
乾癬の原因
乾癬の根本的な原因は完全には解明されていません。
現時点では、遺伝要因と環境要因が組み合わさって発症していると考えられています。
環境要因はさらに内的要因と外的要因に分けることができます。
- 内的要因:妊娠・出産、高脂血症、糖尿病、ストレスなど
- 外的要因:外傷、日焼け、皮膚の乾燥、感染症、薬剤の影響など
乾癬の診断
乾癬の診断は比較的容易で、視診と触診でほぼ正確な診断が可能です。ごくまれに乾癬と区別しにくい症状が見られることがあり、その場合は米粒程度の大きさの皮膚を切り取って顕微鏡で観察します(皮膚生検)。
乾癬の治療
乾癬に対する根本的な治療法は確立されていませんが、適切な治療により症状をコントロールすることはできます。
乾癬の主な治療法としては外用療法、光線療法、内服療法、生物学的製剤の4つがあります。
外用療法
ステロイド外用剤などの塗り薬を用いた治療です。乾癬治療の基本となります。
光線療法
治療用の紫外線を当てることで、免疫系の過剰な働きを抑える治療です。定期的な通院が必要となります。
※当院では光線療法は取り扱っておりません。
内服療法
乾癬の症状を抑えるレチノイド、シクロスポリン、メトトレキサートなどを内服する治療法です。この他、症状によっては抗ヒスタミン薬や鎮痛剤を併用することもあります。
生物学的製剤
生物学的製剤は、乾癬の症状が出ている部位に大量に出ている、炎症にかかわるたんぱく質(サイトカイン)の働きをピンポイントで抑えて症状を改善します。他の治療方法に比べて乾癬の皮膚症状に対する効果が高く、加えて関節症状にも効果があります。
生物学的製剤は症状が特に重い方に用いられるもので、治療できる医療機関が限られています。
※当院では生物学的製剤は取り扱っておりません。
乾癬にお困りなら渋谷文化村通り皮膚科
乾癬は痒みなどの症状のほか、肌を見られることへのストレスやフケが多く出るので美容室に行きにくいなど、QOLの低下を招きやすい病気です。必ずしも高額な治療が良いというわけでもなく、乾癬との付き合い方によって最適な治療方法は異なります。当院では患者さまのご希望を伺いながら治療内容をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。