熱傷とは
熱傷(火傷、やけど)は皮膚に何らかの原因で高温が作用したために起こる傷害をさします。医学的には熱傷、俗に火傷(やけど)といいます。
天ぷら油、カップ麺、淹れたてのコーヒーやお茶などをこぼしたりして熱傷になるケースが多いですが、その他にも低温熱傷や薬品による化学熱傷、電流による電撃傷などがあります。
熱傷の症状
熱傷には深さがあり、Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類されます。皮膚組織のどの部位まで損傷されているかで決定され、皮膚が薄い子供や老人では損傷レベルは深くなる傾向にあります。
また、熱傷を負った場所によっても、皮膚の厚さがことなるため損傷レベルは変わってきます。(例:腕はⅠ度だが手の甲はⅡ度など)
Ⅰ度 | Ⅱ度 | Ⅲ度 | |
損傷レベル | 表皮より浅い | 表皮、真皮 | 皮膚全層・皮下組織 |
症状(外見) | 赤み(充血、発赤) | 水疱(水ぶくれ) | 乾燥(黒色、白色) |
症状(自覚) | 痛み、熱感(熱い) | 痛み(損傷レベルが深くなるにつれて痛みが減少) | 無痛、感覚なし |
治癒期間 | 数日 | 1~4週間 | 1ヶ月以上 |
傷跡 | 残らない | 残る場合と残らない場合がある | 残る |
Ⅰ度熱傷
表皮のみが熱傷になっている状態で、赤くなるだけですが痛みはあります。3~4日で傷跡が残ることなく治ります。
「日焼け」はⅠ度熱傷に分類されます。
Ⅱ度熱傷
表皮の下にある真皮までおよぶ熱傷で、水ぶくれ(水疱)を形成します。Ⅱ度熱傷には浅いものと深いものがあり、浅いものであれば軟膏などを用いて2週間程度で治り、一時的な色素沈着は生じることがあるものの綺麗に治ります。
一方で深いものは治るまでに3週間以上かかり、熱傷が広範囲におよぶ場合は手術が必要になることもあります。
Ⅲ度熱傷
真皮の下にある皮下組織までおよぶ重度の熱傷で、皮膚は硬くなっており、水疱はできずに乾燥しています。焦げたような色になっていることもあります。
ここまで重度になると皮膚が再生することはないため、原則として手術が必要になります。
また、Ⅲ度熱傷が広範囲に及ぶ場合には熱傷性ショック状態となり救命処置が必要となります。
熱傷の応急処置
熱傷を負ってから病院にかかるまでの時間は短いほうがいいですが、どうしても時間がかかってしまうこともあります。熱傷の応急処置について知っておくことで症状を抑えつつ、後遺症の可能性を低下させることができます。
熱傷を負った場合、まずはすぐに水道水で衣服の上からすぐに冷やしてください。15~30分間を目安としてください。この際、無理に衣服を脱がそうとすると水ぶくれが破れたりしてしまい治癒に時間がかかってしまいます。女性の場合はストッキングも脱がないように注意してください。
また、指に熱傷を負った場合は早めに指輪を外しておきましょう。次第に腫れてきて外せなくなってしまうことがあります。
その後、患部をタオルや衣類の上から保冷剤等で冷やしながら病院を受診してください。
熱傷時の医療機関の選定について
熱傷は軽度から重度まであり、症状の重さによって受診すべき医療機関は異なります。
- 局所的かつ軽度の熱傷:お近くの皮膚科
- 手足、顔面、陰部などの熱傷:総合病院の皮膚科(入院の可能性があります)
- 火災や爆発による重度の熱傷:直ちに救急車を呼び、救急外来を受診
※当院は軽度の熱傷には対応できますが、入院設備や救急には対応不可となっております。必要に応じて他病院を紹介させていただくことがございますので、ご了承ください。
熱傷の治療
熱傷の治療は軽度と重度の場合で異なります。いずれにせよ、早急な対応が後遺症を残さないために重要です。
浅い熱傷の場合(Ⅰ度熱傷、浅いⅡ度熱傷)
軟膏や創傷被覆材による治療が行われます。浅い熱傷の場合は基底細胞が多く残っているため、表皮の再生が期待できます。そのため、熱傷部分を乾燥させずに湿潤環境にして治癒を目指します。
傷口に感染が見られる場合、もしくは熱傷した状況によって感染している可能性がある場合は、感染対策のために抗菌作用のある外用薬などを用いて治療していきます。
浅い熱傷の場合は順調に治療が進めば後遺症を残さずに済むことがほとんどです。
深い熱傷の場合(深いⅡ度熱傷、Ⅲ度熱傷)
深い熱傷では基底細胞が少なくなってしまい、治癒に時間がかかったり、後遺症が残りやすくなります。Ⅲ度熱傷の場合は皮膚が壊死しているため、基本的には細菌感染を防ぐために切除します。切除する範囲が狭ければ周囲の皮膚の上皮化で治癒できる可能性がありますが、広範囲の場合は他の部位の皮膚を移植する方法が取られます。
深い熱傷の場合は基本的に入院治療が必要になります。
熱傷の後遺症について
浅い熱傷の場合は色素沈着などの後遺症が見られます。色素沈着を防ぐためには紫外線対策を行うと効果的なので、患部が日に当たりやすい部位の場合は日焼け止めを塗ったり衣類で隠すことをおすすめします。
深い熱傷の場合は傷跡が盛り上がる肥厚性瘢痕やケロイドが見られたり、関節にまたがると瘢痕拘縮(ひきつれ)が見られることもあります。
これらの治療にはピコレーザーやCO2レーザーが有用なケースがあるため、ご相談ください。
熱傷(火傷)の治療は渋谷文化村通り皮膚科
熱傷は早期の治療が肝心です。後遺症を残さないためにも早めに医療機関を受診するようにしてください。
当院では軽度の熱傷治療や、自由診療で瘢痕、ケロイドのレーザー治療を行っております。医師が診察の上、最適な治療をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。