- ✓ ニキビ跡には赤み、色素沈着、クレーターなど様々な種類があり、それぞれ原因と治療法が異なります。
- ✓ セルフケアでは限界がある場合が多く、特にクレーター状のニキビ跡には美容医療が有効な選択肢です。
- ✓ 専門医による適切な診断と、肌の状態やニキビ跡の種類に合わせた治療計画が、効果的な改善への鍵となります。
ニキビ跡は、思春期から大人まで多くの人を悩ませる肌トラブルの一つです。一口にニキビ跡と言っても、その種類は多岐にわたり、それぞれ異なる原因と特徴を持っています。適切なケアや治療を行うためには、まずご自身のニキビ跡がどのタイプに属するのかを正確に理解することが重要です。
本記事では、ニキビ跡の種類とその原因、ご自宅でできるセルフケア、そして美容医療における専門的な治療法まで、ニキビ跡の治し方について詳しく解説します。当院では、初診時に「ニキビは治ったのに、跡が残ってしまって…」と相談される患者さまも少なくありません。それぞれのニキビ跡に合わせた最適なアプローチを見つけるための一助となれば幸いです。
ニキビ跡の種類と原因

ニキビ跡の種類と原因について解説します。ニキビ跡は、ニキビの炎症が治まった後に皮膚に残る様々な痕跡の総称であり、その見た目や深さによっていくつかのタイプに分類されます[4]。ニキビ跡の種類を正確に把握することは、適切な治療法を選択する上で非常に重要です。
赤み(炎症後紅斑)
赤みのあるニキビ跡は、医学的には「炎症後紅斑(えんしょうごこうはん)」と呼ばれます。これは、ニキビによる炎症が治まった後も、その部位の毛細血管が拡張した状態が続くことによって生じます。炎症が強いほど、また長引くほど、赤みが残りやすくなります。特に色白の方や敏感肌の方に目立ちやすい傾向があります。
臨床の現場では、ニキビが治りかけの時期にこの赤みを気にされる患者さまをよく経験します。多くの場合、時間の経過とともに自然に薄れていきますが、数ヶ月から年単位で残ることもあります。紫外線に当たると悪化する可能性があるため、日焼け対策は必須です。
色素沈着(炎症後色素沈着)
色素沈着によるニキビ跡は、「炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)」と呼ばれ、茶色や紫がかった色味を呈します。ニキビの炎症によって皮膚のメラノサイト(色素細胞)が刺激され、メラニン色素が過剰に生成されることで発生します。特に、ニキビを無理に潰したり、強い炎症を伴うニキビだった場合に起こりやすいです。日焼けによってさらに濃くなることもあります。
当院では、特に色黒の方や、ニキビを触る癖がある患者さまに、このタイプの色素沈着が多くいらっしゃいます。適切なケアを行えば改善が期待できますが、放置すると長期間残ってしまうこともあります。
クレーター(瘢痕)
クレーター状のニキビ跡は、最も治りにくいとされるタイプで、医学的には「瘢痕(はんこん)」と呼ばれます。これは、ニキビの炎症が真皮層(皮膚の深い層)にまで及び、組織が破壊されることで生じます。破壊された組織が完全に再生されず、皮膚が陥没したり、盛り上がったりして不均一な表面を形成します。
クレーターにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります[4]。
- アイスピック型
- 毛穴の奥深くまで達する、小さくて深いV字型の陥没。まるでアイスピックで刺したような見た目です。
- ボックスカー型
- 底が平らで、垂直な壁を持つ四角い陥没。水痘(水ぼうそう)の跡に似ています。
- ローリング型
- 皮膚の表面が波打つように広範囲にわたって凹凸があるタイプ。比較的浅いものが多いですが、皮膚全体に影響を与えます。
これらのクレーターは、一度できてしまうと自然治癒は非常に困難であり、専門的な治療が必要となります。診察の中で、特にクレーター状のニキビ跡は患者さまの精神的負担も大きいことを実感しています。
ニキビ跡は、ニキビの炎症が深いほど、また適切な処置がされなかった場合に残りやすくなります。特にニキビを自分で潰すと、炎症が悪化し、クレーターや色素沈着のリスクが高まるため避けるべきです。
ニキビ跡のセルフケア

ニキビ跡のセルフケアについて解説します。セルフケアは、主に赤みや色素沈着といった比較的軽度なニキビ跡に対して有効であり、日々のスキンケアと生活習慣の見直しが中心となります。しかし、クレーター状のニキビ跡はセルフケアでの改善は難しく、専門的な治療が必要になることを理解しておく必要があります。
スキンケアの基本
ニキビ跡のセルフケアにおいて、最も重要なのは「肌に負担をかけない優しいスキンケア」です。過度な洗顔や刺激の強い化粧品の使用は、肌のバリア機能を低下させ、ニキビ跡の悪化や新たなニキビの発生につながる可能性があります。
- 洗顔: 刺激の少ない洗顔料を選び、泡で優しく洗い、ぬるま湯で十分にすすぎます。ゴシゴシ擦ることは厳禁です。
- 保湿: 洗顔後はすぐに化粧水や乳液、クリームなどでしっかりと保湿します。肌の乾燥はバリア機能の低下を招き、肌トラブルの原因となります。セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分が配合されたものがおすすめです。
- 紫外線対策: 紫外線は色素沈着を悪化させ、赤みを長引かせる原因となります。日焼け止めを毎日使用し、帽子や日傘なども活用して徹底的な紫外線対策を行いましょう。
当院では、洗顔や保湿の方法について具体的な指導をさせていただくことが多いです。正しいスキンケアを続けることで、肌のコンディションが整い、ニキビ跡の改善だけでなく、新たなニキビの予防にもつながります。
有効成分を含む化粧品
市販の化粧品の中には、ニキビ跡の改善に役立つとされる有効成分が配合されているものもあります。
- ビタミンC誘導体: メラニン生成を抑制し、コラーゲン生成を促進する作用が期待できます。色素沈着や肌のハリの改善に役立つとされます。
- レチノール(ビタミンA誘導体): 肌のターンオーバー(新陳代謝)を促進し、古い角質やメラニンの排出を助けます。また、コラーゲン生成を促す作用も期待できますが、肌への刺激が強いため、少量から試すなど注意が必要です。
- グリチルリチン酸ジカリウム: 抗炎症作用があり、赤みのあるニキビ跡の鎮静に役立つ可能性があります。
これらの成分は、あくまで補助的な役割を果たすものであり、劇的な効果を期待しすぎるのは禁物です。肌に合わない場合は使用を中止し、専門医に相談してください。実際の診療では、患者さまの肌質やニキビ跡の状態に合わせて、どの成分が適しているかを見極めることが重要なポイントになります。
生活習慣の見直し
肌の状態は、日々の生活習慣と密接に関わっています。ニキビ跡の改善には、内側からのケアも欠かせません。
- バランスの取れた食事: ビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含む野菜や果物を積極的に摂り、脂っこいものや糖分の多いものは控えめにしましょう。特にビタミンB群やビタミンCは肌の健康維持に重要です。
- 十分な睡眠: 睡眠不足は肌のターンオーバーを乱し、ニキビ跡の治りを遅らせる原因となります。質の良い睡眠を7〜8時間確保するよう心がけましょう。
- ストレス管理: ストレスはホルモンバランスを崩し、ニキビの発生や悪化につながることがあります。適度な運動や趣味などでストレスを解消しましょう。
セルフケアは継続が重要ですが、数ヶ月続けても改善が見られない場合や、クレーター状のニキビ跡が気になる場合は、美容皮膚科などの専門機関への相談を検討してください。
ニキビ跡の美容医療(機器治療)
ニキビ跡の美容医療における機器治療について解説します。セルフケアでは改善が難しいニキビ跡、特にクレーター状の瘢痕や頑固な色素沈着に対しては、美容医療による専門的な治療が非常に有効です。近年、様々な種類の機器治療が登場しており、ニキビ跡の種類や深さに応じて最適な治療法が選択されます[2]。
レーザー治療
レーザー治療は、ニキビ跡治療の主要な選択肢の一つです。様々な種類のレーザーがあり、ニキビ跡のタイプによって使い分けられます。
- フラクショナルレーザー: 皮膚に微細な穴を多数開け、皮膚の再生能力を高めることで、クレーター状のニキビ跡の改善を目指します。炭酸ガスフラクショナルレーザー(CO2フラクショナルレーザー)やエルビウムヤグレーザーなどがあります。真皮層のコラーゲン生成を促進し、肌の凹凸を滑らかにする効果が期待できます[1]。
- ピコレーザー: 短いパルス幅で強力なレーザーを照射し、メラニン色素を細かく破壊することで、色素沈着型のニキビ跡に効果が期待できます。また、低出力で真皮層に働きかけ、肌のトーンアップやハリ改善にも寄与します。
- Vビームレーザーなど色素レーザー: 赤みのあるニキビ跡(炎症後紅斑)に対して、拡張した毛細血管に選択的に作用し、赤みを軽減する効果が期待できます。
治療を始めて数ヶ月ほどで「肌の凹凸が目立たなくなってきた」「赤みが引いてきた」とおっしゃる方が多いです。レーザー治療はダウンタイム(治療後の回復期間)を伴うことがありますが、効果を実感しやすい治療法です。
ダーマペン・マイクロニードリング
ダーマペンやマイクロニードリングは、極細の針で皮膚に微細な穴を開け、肌の自然治癒力を利用してコラーゲン生成を促進する治療法です。特にクレーター状のニキビ跡や肌のハリ改善に効果が期待できます。治療後に成長因子やPRP(多血小板血漿)を塗布することで、より高い相乗効果が報告されています[3]。
当院では、クレーターの深さや広がり具合に応じて、ダーマペンの針の深さや治療回数を調整しています。複数回の治療を重ねることで、徐々に肌の質感が改善されていくのを診察の中で実感しています。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、酸性の薬剤を皮膚に塗布し、古い角質を除去することで肌のターンオーバーを促進する治療法です。毛穴の詰まりを改善し、新たなニキビの予防にもつながります。また、色素沈着の改善や肌のトーンアップにも効果が期待できます。
- サリチル酸マクロゴール: 比較的刺激が少なく、肌の表面の角質を穏やかに除去します。
- グリコール酸: より深層に作用し、ニキビ跡の改善や肌の再生を促します。
ケミカルピーリングは、定期的に継続することで肌のコンディションを良好に保ち、ニキビ跡の悪化を防ぐ上でも有効な治療法です。
その他の治療法
上記以外にも、ニキビ跡の状態に応じて様々な治療法が検討されます。
- サブシジョン: クレーターの底にある線維組織を針で切断し、陥没した皮膚を持ち上げる治療法です。特にローリング型のクレーターに有効とされます。
- TCAピーリング(TCA CROSS): 高濃度のトリクロロ酢酸をクレーターの底にピンポイントで塗布し、皮膚の再生を促す治療法です。アイスピック型やボックスカー型の深いクレーターに用いられます。
- 高周波(RF)治療: 高周波エネルギーを真皮層に送り込み、熱刺激によってコラーゲン生成を促進します。肌の引き締め効果も期待できます。
これらの治療は、単独で行われることもあれば、複数の治療を組み合わせる「コンビネーション治療」として行われることもあります。実際の診療では、患者さま一人ひとりの肌の状態、ニキビ跡の種類、ダウンタイムの許容度などを総合的に考慮し、最適な治療計画を提案しています。
ニキビ跡治療の選び方と費用

ニキビ跡治療の選び方と費用について解説します。ニキビ跡の治療は多岐にわたるため、ご自身のニキビ跡の種類、肌の状態、予算、ダウンタイムの許容度などを考慮して、最適な方法を選択することが重要です。専門医としっかり相談し、納得のいく治療計画を立てることが成功への鍵となります。
専門医による診断の重要性
ニキビ跡治療を始める上で最も重要なのは、専門医による正確な診断です。自己判断で治療法を選ぶと、効果が得られなかったり、かえって肌トラブルを招いたりする可能性があります。医師は、ニキビ跡の種類(赤み、色素沈着、クレーターのタイプなど)、深さ、肌質、過去の治療歴などを総合的に評価し、最適な治療法を提案します。
初診時に「どの治療を受けたらいいか分からない」と相談される患者さまも少なくありません。当院では、丁寧なカウンセリングと診察を通じて、患者さまの悩みや希望を深く理解し、エビデンスに基づいた最適な治療プランを一緒に考えていくことを重視しています。特にクレーター状のニキビ跡は、複数の治療を組み合わせることでより高い効果が期待できるため、専門的な知見が不可欠です。
治療法の選択基準
ニキビ跡の治療法を選ぶ際には、以下の点を考慮すると良いでしょう。
- ニキビ跡の種類:
- 赤み(炎症後紅斑): Vビームレーザー、光治療、ケミカルピーリングなど
- 色素沈着(炎症後色素沈着): ピコレーザー、ケミカルピーリング、ハイドロキノンなどの外用薬
- クレーター(瘢痕): フラクショナルレーザー、ダーマペン、サブシジョン、TCAピーリングなど
- ダウンタイム: 治療によっては数日〜数週間のダウンタイム(赤み、腫れ、かさぶたなど)が生じることがあります。仕事や日常生活への影響を考慮して選択しましょう。
- 治療回数と期間: 多くの治療は1回で完結するものではなく、複数回の継続的な治療が必要です。治療期間や通院頻度も考慮に入れましょう。
- 費用: 治療内容によって費用は大きく異なります。保険適用外の自由診療がほとんどであるため、予算内で無理なく続けられる治療を選ぶことが大切です。
ニキビ跡治療の費用目安
ニキビ跡治療は、ほとんどが保険適用外の自由診療となります。そのため、クリニックや治療内容によって費用は大きく異なります。以下に一般的な費用目安を示しますが、詳細な料金は必ず各クリニックに直接お問い合わせください。
| 治療法 | 費用目安(1回あたり) | 主な対象 |
|---|---|---|
| フラクショナルレーザー | 2万円〜8万円 | クレーター |
| ピコレーザー(トーニング・フラクショナル) | 1.5万円〜5万円 | 色素沈着、肌質改善、クレーター |
| Vビームレーザー | 1.5万円〜4万円 | 赤み |
| ダーマペン | 2万円〜5万円 | クレーター、肌質改善 |
| ケミカルピーリング | 5千円〜1.5万円 | 色素沈着、ニキビ予防、肌質改善 |
| サブシジョン | 3万円〜10万円 | クレーター(ローリング型) |
これらの費用はあくまで目安であり、治療範囲(顔全体か部分か)、使用する薬剤や機器の種類、クリニックの方針によって変動します。また、麻酔代や薬剤費が別途かかる場合もありますので、カウンセリング時に総額を確認することが重要です。
実際の診療では、患者さまの予算やライフスタイルに合わせた治療計画を立てることも重要なポイントになります。無理なく続けられる範囲で、最大限の効果を目指せるよう、医師と密に相談してください。
まとめ
ニキビ跡は、その種類によって適切な治し方が異なります。赤みや色素沈着といった比較的軽度なニキビ跡は、適切なスキンケアや有効成分を含む化粧品、生活習慣の見直しといったセルフケアで改善が期待できる場合があります。しかし、クレーター状のニキビ跡は自然治癒が難しく、フラクショナルレーザーやダーマペン、サブシジョンといった美容医療による専門的な治療が有効な選択肢となります。
ニキビ跡治療を検討する際は、まず専門医による正確な診断を受け、ご自身のニキビ跡の種類や肌の状態に合った治療法を選択することが重要です。費用やダウンタイムも考慮し、医師と十分に相談した上で、納得のいく治療計画を立てましょう。継続的な治療が必要となるケースも多いため、信頼できるクリニックを見つけることが、ニキビ跡の改善への第一歩となります。
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- Hyuck Hoon Kwon, Steven Hoseong Yang, Joon Lee et al.. Combination Treatment with Human Adipose Tissue Stem Cell-derived Exosomes and Fractional CO2 Laser for Acne Scars: A 12-week Prospective, Double-blind, Randomized, Split-face Study.. Acta dermato-venereologica. 2021. PMID: 33073298. DOI: 10.2340/00015555-3666
- Fares Salameh, Peter R Shumaker, Greg J Goodman et al.. Energy-based devices for the treatment of Acne Scars: 2022 International consensus recommendations.. Lasers in surgery and medicine. 2022. PMID: 34719045. DOI: 10.1002/lsm.23484
- Elizabeth Schoenberg, Jordan V Wang, Christopher B Zachary et al.. Treatment of acne scars with PRP and laser therapy: an up-to-date appraisal.. Archives of dermatological research. 2020. PMID: 31144021. DOI: 10.1007/s00403-019-01936-7
- Ashley K Clark, Suzana Saric, Raja K Sivamani. Acne Scars: How Do We Grade Them?. American journal of clinical dermatology. 2018. PMID: 28891036. DOI: 10.1007/s40257-017-0321-x
- アルツディスポ(ヒアルロン)添付文書(JAPIC)
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