とびひ(伝染性膿痂疹)の症状と治療

【とびひ(伝染性膿痂疹)の症状と治療】|医師が解説

最終更新日: 2026-04-06
📋 この記事のポイント
  • ✓ とびひは細菌感染症であり、水ぶくれやただれが特徴的な症状です。
  • ✓ 主に接触感染で広がるため、早期発見と適切な治療、そして衛生管理が重要です。
  • ✓ 抗生物質の内服や外用が治療の中心となり、医師の指示に従うことが完治への鍵となります。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

とびひの基礎知識と治療

とびひの皮膚病変が広がる様子、水ぶくれやただれが特徴的な伝染性膿痂疹の症状
とびひの皮膚病変と症状

とびひ(伝染性膿痂疹)は、皮膚に細菌が感染することで発症し、水ぶくれやただれが全身に広がる皮膚疾患です。特に夏場に子どもに多く見られますが、大人も感染する可能性があります。適切な知識と早期の治療が、症状の悪化や周囲への感染拡大を防ぐために不可欠です。

とびひとはどのような病気ですか?

とびひ(伝染性膿痂疹)とは、主に黄色ブドウ球菌やA群β溶血性レンサ球菌(溶連菌)といった細菌が皮膚に感染し、水ぶくれやびらん(ただれ)を引き起こす皮膚感染症です[1]。引っ掻いたり、虫刺されや湿疹などでできた小さな傷から細菌が侵入し、感染が広がります。その症状が火事の飛び火のようにあっという間に広がることから「とびひ」と呼ばれています。

臨床の現場では、特にアトピー性皮膚炎の患者さまが皮膚のバリア機能が低下しているため、とびひを合併するケースをよく経験します。皮膚の乾燥や湿疹がある場合は、より一層の注意が必要です。

とびひの主な種類と特徴は?

とびひには大きく分けて2つのタイプがあります。

水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)
主に黄色ブドウ球菌が原因で、透明な水ぶくれ(水疱)が生じ、それが破れるとびらん(ただれ)になり、かさぶたを形成します。かゆみが強く、引っ掻くことで病変が拡大しやすいのが特徴です。乳幼児に多く見られます[2]
痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)
主にA群β溶血性レンサ球菌が原因で、厚いかさぶた(痂皮)を伴うびらんが特徴です。水疱性膿痂疹よりも深く皮膚に影響を及ぼすことがあり、発熱やリンパ節の腫れを伴うこともあります。時に腎炎などの合併症を引き起こす可能性も指摘されています[3]

とびひの症状はどのように現れますか?

とびひの主な症状は、皮膚に現れる特徴的な発疹です。初期には小さな赤みや水ぶくれとして始まり、数時間から数日のうちに急速に拡大することがあります。

  • 水ぶくれ(水疱): 特に水疱性膿痂疹では、透明またはやや黄色がかった液体を含む水ぶくれができます。これが破れると、皮膚の表面がただれた状態になります。
  • ただれ(びらん): 水ぶくれが破れた後に現れる、赤く湿った皮膚の表面です。この部分から細菌が広がりやすくなります。
  • かさぶた(痂皮): ただれた部分が乾燥すると、黄褐色の厚いかさぶたが形成されます。特に痂皮性膿痂疹では、このかさぶたが目立ちます。
  • かゆみ: 強いかゆみを伴うことが多く、引っ掻くことでさらに感染が広がり、症状が悪化する原因となります。
  • その他: 発熱やリンパ節の腫れを伴うこともありますが、これは特に痂皮性膿痂疹で多く見られます[3]

初診時に「虫刺されかと思っていたら、あっという間に広がった」と相談される患者さまも少なくありません。特に夏場の虫刺されには注意が必要です。

とびひの診断はどのように行われますか?

とびひの診断は、主に皮膚科医による視診(見た目の確認)によって行われます。特徴的な水ぶくれ、ただれ、かさぶたの有無や広がり方を確認します。多くの場合、これらの視覚的な情報で診断が可能ですが、他の皮膚疾患との鑑別が必要な場合や、治療が奏功しない場合には、細菌培養検査が行われることもあります。

細菌培養検査とは?

細菌培養検査は、病変部から採取した分泌物や組織を培養し、どの種類の細菌が感染しているかを特定する検査です。これにより、最も効果的な抗生物質を選択するための情報が得られます[2]。当院では、特に難治性のケースや、通常の治療で改善が見られない場合にこの検査を検討することがあります。

とびひの治療法にはどのようなものがありますか?

とびひの治療は、主に抗生物質を用いた薬物療法が中心となります。症状の重症度や広がり、原因菌の種類によって、内服薬と外用薬が使い分けられます。

薬物療法

  • 外用抗生物質: 比較的軽症の場合や、病変が限局している場合に用いられます。患部に直接塗布することで、細菌の増殖を抑えます。フシジン酸ナトリウムやムピロシンなどが一般的に処方されます[1]
  • 内服抗生物質: 症状が広範囲に及ぶ場合や、外用薬だけでは効果が不十分な場合、また発熱などの全身症状を伴う場合に処方されます。セフェム系やペニシリン系の抗生物質が選択されることが多いです。通常、5〜10日間程度の服用が推奨されますが、医師の指示に従い、症状が改善しても途中で服用を中止しないことが重要です[2]

実際の診療では、抗生物質の内服と外用を併用することで、より効果的な治療を目指すことが多いです。治療を始めて数日ほどで「水ぶくれが減ってきた」「かゆみが楽になった」とおっしゃる方が多いですが、自己判断で中断せず、処方された期間はきちんと続けるよう指導しています。

症状を和らげるためのケア

  • 患部の清潔保持: 患部を清潔に保つことが感染拡大を防ぐ上で非常に重要です。石鹸をよく泡立てて優しく洗い、シャワーで洗い流しましょう。
  • 引っ掻き防止: かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬の内服が検討されることもあります。爪を短く切り、患部をガーゼなどで保護して引っ掻きを防止しましょう。
  • タオルの共有を避ける: 家族内での感染を防ぐため、タオルや衣類の共有は避け、こまめに洗濯しましょう。
⚠️ 注意点

とびひは非常に感染力が強いため、家庭内や集団生活の場での感染拡大を防ぐための対策が重要です。特に、患部を触った手で他の場所を触ったり、他の人に接触したりしないよう注意が必要です。

とびひの治療期間と登園・登校の目安は?

とびひの治療期間は、症状の重症度や治療への反応によって異なりますが、一般的には数日から1週間程度で症状の改善が見られ始めます。完全に治癒するまでには、さらに数日を要することが多いです。

登園・登校の目安については、文部科学省の学校保健安全法施行規則では「病変部が乾燥し、痂皮化したものについては登校を認める」とされています。つまり、水ぶくれが破れてただれた部分が乾燥し、かさぶたになっていれば登園・登校が可能です。ただし、患部をガーゼなどで覆い、他の子どもに接触しないよう配慮することが推奨されます。最終的な判断は、かかりつけの医師と相談して決定することが重要です。

当院では、保護者の方に「患部がジュクジュクしなくなったら登園・登校を検討できますが、念のためガーゼで保護してください」とお伝えしています。感染予防のための手洗いや衛生管理も継続して行うよう指導しています。

とびひの予防策は?

とびひは接触感染で広がるため、日頃からの予防が非常に大切です。特に皮膚のバリア機能が低下している状態では感染しやすくなります。

  • 皮膚を清潔に保つ: 汗をかいたらシャワーを浴びる、お風呂で体を優しく洗うなど、皮膚を清潔に保つことが基本です。
  • 傷口の保護: 虫刺され、湿疹、擦り傷など、皮膚にできた小さな傷は細菌の侵入口となります。絆創膏などで保護し、清潔に保ちましょう。
  • 引っ掻き防止: かゆみがある場合は、掻き壊さないように爪を短く切る、抗ヒスタミン薬を服用するなどの対策が有効です。
  • 手洗いと衛生管理: 外出後や食事の前には必ず手洗いを励行しましょう。タオルや衣類、寝具の共有を避け、こまめに洗濯することも大切です。

当院では、とびひの再発を防ぐために、日常的なスキンケアの重要性を患者さまや保護者の方にお伝えしています。特にアトピー性皮膚炎など基礎疾患がある場合は、皮膚の保湿をしっかり行い、バリア機能を維持することが予防に繋がります。

他の皮膚疾患との鑑別は必要ですか?

とびひは特徴的な症状を示しますが、他の皮膚疾患と似た症状を示すこともあります。特に以下の疾患との鑑別が重要になることがあります。

項目とびひ(伝染性膿痂疹)ヘルペス(単純疱疹)水痘(水ぼうそう)
原因細菌(黄色ブドウ球菌、溶連菌)単純ヘルペスウイルス水痘・帯状疱疹ウイルス
主な症状水ぶくれ、ただれ、黄褐色のかさぶた小水疱が密集、痛みやチクチク感全身に散在する水ぶくれ、強いかゆみ
感染経路接触感染接触感染、飛沫感染空気感染、飛沫感染、接触感染
治療薬抗生物質(内服・外用)抗ウイルス薬(内服・外用)抗ウイルス薬(内服)、対症療法

これらの疾患は見た目が似ていることがありますが、原因となる病原体が異なるため、治療法も全く異なります。自己判断せずに、必ず医療機関を受診し、正確な診断を受けることが重要です。

まとめ

とびひ治療薬の軟膏を塗る手元、適切な治療で症状が改善される様子を表現
とびひ治療薬の塗布

とびひ(伝染性膿痂疹)は、細菌感染によって引き起こされる皮膚疾患で、水ぶくれやただれが特徴です。主に黄色ブドウ球菌や溶連菌が原因となり、引っ掻き傷などから感染が広がります。水疱性膿痂疹と痂皮性膿痂疹の2つのタイプがあり、それぞれ症状に若干の違いが見られます。診断は視診が中心ですが、必要に応じて細菌培養検査も行われます。治療は抗生物質の内服や外用が基本となり、患部を清潔に保ち、引っ掻きを防止するなどのセルフケアも重要です。感染力が強いため、早期の治療と適切な衛生管理が感染拡大を防ぐ鍵となります。他の皮膚疾患との鑑別も重要であるため、症状が見られた場合は速やかに医療機関を受診し、医師の指示に従って治療を進めるようにしましょう。

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医師が患者の質問に答える様子、とびひの疑問を解消する専門的なアドバイス
とびひに関する医師の回答

よくある質問(FAQ)

とびひは自然に治りますか?
軽症の場合、自然治癒することもありますが、感染力が強く、症状が悪化したり、全身に広がったりするリスクがあるため、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な治療を受けることを強く推奨します。特に、腎炎などの合併症を引き起こす可能性のあるタイプもあります。
とびひの跡は残りますか?
通常、適切な治療を受ければ、とびひの跡が残ることはほとんどありません。しかし、強く引っ掻いて皮膚が深く傷ついたり、細菌感染が重症化したりした場合は、一時的な色素沈着や瘢痕(傷跡)が残る可能性もゼロではありません。治療中は患部を刺激しないように注意しましょう。
大人もとびひになりますか?
はい、大人もとびひになることがあります。特に、アトピー性皮膚炎や糖尿病など基礎疾患がある方、免疫力が低下している方、皮膚に傷がある方などは感染リスクが高まります。子どものとびひとは異なり、症状が広範囲に及ぶ場合や、治りにくいケースも見られます。
とびひはプールに入れますか?
とびひは感染力が非常に強いため、症状がある間はプールに入るのは避けるべきです。他の人への感染リスクがあるだけでなく、プールの水によって患部が悪化する可能性もあります。病変部が完全に乾燥し、かさぶたになり、医師から許可が出てからプールに入るようにしましょう。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長