乾癬(かんせん)の原因と治療

【乾癬(かんせん)の原因と治療】|専門医が解説

最終更新日: 2026-04-05
📋 この記事のポイント
  • ✓ 乾癬は遺伝的要因と環境要因が複雑に絡み合って発症する慢性炎症性疾患です。
  • ✓ 治療法は症状の程度や病型に応じて多岐にわたり、外用療法から生物学的製剤まで選択肢があります。
  • ✓ 適切な治療と生活習慣の改善により、症状のコントロールとQOL向上が期待できます。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

乾癬(かんせん)は、皮膚に赤みのある発疹や銀白色のフケのような鱗屑(りんせつ)が生じる慢性的な炎症性疾患です。見た目の症状だけでなく、かゆみや関節の痛み、精神的な負担など、患者さんの生活の質(QOL)に大きく影響を及ぼすことがあります。適切な知識と治療で、症状をコントロールし、快適な日常生活を送ることが可能です。

乾癬の基礎知識

皮膚の炎症と赤みが特徴的な乾癬の症状、基礎的な皮膚疾患の理解
乾癬の皮膚症状の例

乾癬は、皮膚の細胞が異常な速さで増殖し、炎症を伴うことで特徴的な皮疹が現れる病気です。遺伝的素因に加えて、様々な環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています[1]。当院では、初診時に「これってうつる病気ですか?」と相談される患者さまも少なくありませんが、乾癬は感染症ではないため、他人にうつることはありませんのでご安心ください。

乾癬とはどのような病気ですか?

乾癬は、皮膚の表皮細胞が通常よりもはるかに速いサイクルで生まれ変わり、皮膚表面に厚い角質が蓄積することで発疹が生じる自己免疫疾患の一つです。通常、皮膚の細胞は約45日かけて生まれ変わりますが、乾癬ではこのサイクルが約3〜4日と極端に短縮されます[2]。これにより、皮膚は炎症を起こして赤くなり(紅斑)、その上に銀白色のフケのような鱗屑が厚く付着します。これらの皮疹は、肘、膝、頭皮、お尻など、刺激を受けやすい部位によく見られますが、全身どこにでも発生する可能性があります。

自己免疫疾患
免疫システムが誤って自身の正常な細胞や組織を攻撃してしまうことで起こる病気の総称です。

乾癬の種類と特徴は何ですか?

乾癬にはいくつかの病型があり、それぞれ症状の現れ方や重症度が異なります。主な病型は以下の通りです。

  • 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん): 最も一般的なタイプで、全体の約9割を占めます。境界がはっきりした赤い発疹の上に、銀白色の厚い鱗屑が付着します。かゆみを伴うことも多く、慢性的に経過します。
  • 関節症性乾癬(かんせつしょうせいかんせん): 乾癬患者さんの約10〜30%に合併するとされる病型で、皮膚症状に加えて関節の痛みや腫れ、変形を伴います[1]。指の関節や脊椎に炎症が起こりやすく、早期の診断と治療が重要です。
  • 滴状乾癬(てきじょうかんせん): 小さな水滴のような赤い発疹が全身に多発するタイプです。扁桃炎などの感染症をきっかけに急激に発症することがあります。
  • 膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん): 赤い発疹の中に無菌性の膿疱(うみ)が多発する比較的まれな病型です。発熱や全身倦怠感を伴うことがあり、重症化すると入院治療が必要になることもあります。
  • 乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう): 全身の90%以上に紅斑と鱗屑が広がる重症な病型です。皮膚のバリア機能が著しく低下し、体温調節障害や脱水などを引き起こす可能性があります。

乾癬の原因は何ですか?

乾癬の原因は完全に解明されているわけではありませんが、遺伝的要因と環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています[1]。臨床の現場では、ストレスや生活習慣の乱れが症状の悪化に繋がるケースをよく経験します。

  • 遺伝的要因: 乾癬になりやすい体質は遺伝すると考えられており、家族に乾癬患者さんがいる場合、発症リスクが高まることが知られています。特定の遺伝子(例: HLA-Cw6)が関与していることが報告されています[1]
  • 免疫系の異常: 乾癬は免疫系の異常が関与する自己免疫疾患です。T細胞と呼ばれる免疫細胞が過剰に活性化し、皮膚の炎症を引き起こすサイトカイン(炎症性物質)を放出し、表皮細胞の異常な増殖を促進します[2]
  • 環境要因(増悪因子):
    • ストレス: 精神的・肉体的なストレスは、乾癬の症状を悪化させる主要な要因の一つとされています[3]
    • 感染症: 扁桃炎などの細菌感染症やウイルス感染症が、特に滴状乾癬の発症や悪化の引き金となることがあります。
    • 肥満・メタボリックシンドローム: 肥満や糖尿病、高血圧などのメタボリックシンドロームは、乾癬の発症リスクを高めたり、症状を悪化させたりすることが報告されています[4]
    • 薬剤: 特定の薬剤(例: β遮断薬、非ステロイド性抗炎症薬、リチウムなど)が乾癬を誘発したり、悪化させたりすることがあります。
    • 外傷・摩擦: 皮膚への物理的な刺激(ケブナー現象)が、その部位に乾癬の皮疹を誘発することがあります。
    • 喫煙・飲酒: 喫煙や過度な飲酒も乾癬の悪化因子として知られています。
⚠️ 注意点

乾癬は慢性疾患であり、完治が難しい場合もありますが、適切な治療を継続することで症状を良好にコントロールし、再燃を抑えることが可能です。自己判断で治療を中断せず、医師と相談しながら治療計画を進めることが重要です。

乾癬の治療

乾癬の治療法として内服薬や外用薬、光線療法を組み合わせたアプローチ
乾癬の多様な治療選択肢

乾癬の治療は、症状の重症度や病型、患者さんのライフスタイルに合わせて多岐にわたります。治療の目標は、皮膚症状の改善だけでなく、かゆみや痛みの軽減、関節症状のコントロール、そして患者さんの生活の質の向上です。実際の診療では、患者さま一人ひとりの症状や生活背景を丁寧に伺い、最も適した治療法を一緒に見つけていくことが重要なポイントになります。

乾癬の主な治療法にはどのようなものがありますか?

乾癬の治療法は大きく分けて、外用療法、光線療法、内服療法、生物学的製剤の4つがあります。これらの治療法は単独で行われることもあれば、組み合わせて行われることもあります[1]

  1. 外用療法:

    軽症から中等症の乾癬に第一選択される治療法です。患部に直接薬を塗布することで、炎症を抑えたり、皮膚細胞の異常な増殖を抑制したりします。

    • ステロイド外用薬: 炎症を強力に抑える効果があります。強さの異なる様々な製剤があり、症状や部位に応じて使い分けます。
    • 活性型ビタミンD3外用薬: 皮膚細胞の異常な増殖を抑え、正常な細胞の分化を促します。ステロイド外用薬と併用されることも多いです。
    • 配合外用薬: ステロイドと活性型ビタミンD3が一つになった製剤で、効果と利便性を両立しています。
  2. 光線療法(紫外線療法):

    特定の波長の紫外線を患部に照射することで、皮膚の炎症を抑え、細胞の異常増殖を抑制する治療法です。中等症以上の乾癬に用いられます。

    • ナローバンドUVB療法: 乾癬の治療に最も効果的とされる311nm付近の狭い波長域の紫外線を照射します。比較的安全性が高く、週に数回通院して行われます。
    • PUVA療法: 光感受性物質(ソラレン)を内服または外用した後に、UVAを照射する治療法です。効果は高いですが、色素沈着や発がんリスクに注意が必要です。
  3. 内服療法:

    全身に症状が広がる重症の乾癬や、外用療法・光線療法で効果が得られない場合に選択されます。免疫を抑制したり、炎症を抑えたりする薬が用いられます。

    • 免疫抑制剤(例: シクロスポリン、メトトレキサート): 免疫細胞の働きを抑えることで、炎症反応を抑制します。副作用に注意しながら慎重に投与されます。
    • レチノイド(ビタミンA誘導体): 皮膚細胞の異常な増殖を抑え、正常な分化を促します。
    • PDE4阻害薬(例: アプレミラスト): 炎症に関わる酵素の働きを阻害し、炎症反応を抑えます。
  4. 生物学的製剤:

    既存の治療法で十分な効果が得られない重症の乾癬に対して、近年開発された新しい治療薬です。乾癬の発症に関わる特定のサイトカイン(TNF-α、IL-12/23、IL-17など)の働きをピンポイントで阻害することで、高い治療効果が期待できます[2]。注射薬が主で、通院での投与や自己注射が可能です。治療を始めて数ヶ月ほどで「こんなに皮膚がきれいになるなんて」とおっしゃる方が多いです。

治療法主な対象特徴
外用療法軽症〜中等症患部に直接塗布、副作用が少ない
光線療法中等症以上紫外線照射、通院が必要
内服療法重症、既存治療で不十分な場合全身作用、副作用のモニタリングが重要
生物学的製剤重症、既存治療で不十分な場合標的治療、高い効果が期待できる

治療の副作用や注意点はありますか?

どの治療法にも副作用のリスクや注意点が存在します。医師は患者さんの状態を考慮し、リスクとベネフィットを総合的に判断して治療法を提案します。

  • 外用療法: ステロイド外用薬の長期使用では、皮膚の菲薄化(薄くなること)や毛細血管拡張などの副作用が起こる可能性があります。活性型ビタミンD3外用薬では、刺激感や紅斑が見られることがあります。
  • 光線療法: 日焼けのような紅斑、色素沈着、皮膚の乾燥などが起こることがあります。長期的な観点では、皮膚がんのリスクがわずかに上昇する可能性も指摘されています。
  • 内服療法: 免疫抑制剤は、感染症のリスクを高めたり、肝機能障害や腎機能障害などの副作用を引き起こすことがあります。定期的な血液検査によるモニタリングが不可欠です。レチノイドは催奇形性があるため、妊娠を希望する女性には使用できません。
  • 生物学的製剤: 免疫を抑制するため、感染症(特に結核やB型肝炎など)のリスクが高まることがあります。投与前には感染症のスクリーニング検査が必要です。また、注射部位反応やアレルギー反応が起こることもあります。

これらの副作用について、治療開始前に医師から十分な説明を受け、疑問点があれば遠慮なく質問することが重要です。

生活習慣の改善も治療に役立ちますか?

はい、生活習慣の改善は乾癬の症状コントロールにおいて非常に重要です。薬物療法と並行して、以下の点に注意することで、治療効果を高め、症状の悪化を防ぐことが期待できます。

  • ストレス管理: ストレスは乾癬の増悪因子の一つです[3]。十分な睡眠、適度な運動、趣味など、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
  • バランスの取れた食事: 肥満やメタボリックシンドロームは乾癬の悪化に関連するとされています[4]。野菜や魚を中心としたバランスの良い食事を心がけ、過度な飲酒は控えることが推奨されます。
  • 禁煙: 喫煙は乾癬の発症リスクを高め、症状を悪化させることが知られています。禁煙は症状改善に繋がる可能性があります。
  • 皮膚の保湿: 乾燥は皮膚のバリア機能を低下させ、かゆみや炎症を悪化させる可能性があります。保湿剤を適切に使用し、皮膚を清潔に保つことが重要です。
  • 適度な運動: 肥満の解消やストレス軽減に役立ちます。無理のない範囲で継続できる運動を取り入れましょう。

これらの生活習慣の改善は、治療効果を高めるだけでなく、全身の健康維持にも繋がります。当院では、患者さまのライフスタイルに合わせた具体的なアドバイスも提供しています。

まとめ

乾癬患者が健康的な生活を送るためのサポートと治療継続の重要性
乾癬との向き合い方と治療

乾癬は、遺伝的要因と環境要因が複合的に絡み合って発症する慢性的な皮膚疾患であり、見た目の問題だけでなく、かゆみや関節痛、精神的負担など、患者さんの生活の質に大きな影響を及ぼす可能性があります。しかし、近年では治療法が大きく進歩しており、外用療法、光線療法、内服療法、そして生物学的製剤など、多様な選択肢があります。適切な診断のもと、個々の症状やライフスタイルに合わせた治療計画を立て、継続的に治療を行うことで、症状を良好にコントロールし、健やかな日常生活を送ることが期待できます。また、ストレス管理やバランスの取れた食事、禁煙などの生活習慣の改善も、治療効果を高める上で非常に重要です。乾癬でお悩みの方は、一人で抱え込まず、皮膚科専門医に相談し、ご自身に合った治療法を見つけることが大切です。

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よくある質問(FAQ)

乾癬は治りますか?
乾癬は現在のところ完治が難しい慢性疾患とされています。しかし、適切な治療を継続することで、症状をほとんど目立たない状態まで改善させ、再燃を抑えることが可能です。治療の目標は、症状をコントロールし、患者さんの生活の質を向上させることです。
乾癬は他人にうつりますか?
いいえ、乾癬は感染症ではないため、他人にうつることはありません。皮膚の接触や、タオル・衣類の共有などで感染することはありませんのでご安心ください。
乾癬の治療費は高額になりますか?
乾癬の治療費は、選択する治療法によって大きく異なります。特に生物学的製剤は高額になる傾向がありますが、高額療養費制度や医療費控除などの公的支援制度を利用できる場合があります。また、各種医療保険の適用も可能です。治療費についてご心配な場合は、遠慮なく医師や医療相談窓口にご相談ください。
乾癬の症状が悪化する要因は何ですか?
乾癬の症状を悪化させる要因には、ストレス、感染症(扁桃炎など)、肥満、喫煙、過度な飲酒、特定の薬剤(β遮断薬など)、皮膚への物理的刺激(ケブナー現象)などが挙げられます。これらの増悪因子を避けることや管理することは、症状のコントロールに役立ちます。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長