- ✓ たるみは加齢による皮膚構造の変化、紫外線、生活習慣など複数の要因で進行します。
- ✓ 予防には紫外線対策や適切なスキンケア、バランスの取れた食生活が重要です。
- ✓ 美容医療では、症状や希望に応じてレーザー、HIFU、注入療法、外科手術など多様な選択肢があります。
皮膚のたるみは、年齢とともに多くの人が直面する肌の悩みの一つです。肌のハリや弾力が失われ、重力によって皮膚が下垂することで、顔や体の印象に変化をもたらします。この記事では、たるみの主な原因と、それに対する様々な治療法について詳しく解説します。
たるみの原因とは?

たるみとは、皮膚や皮下組織が重力に逆らえなくなり、下方に垂れ下がった状態を指します。これは、皮膚の構造を支える複数の要素が複合的に影響し合うことで生じます。当院では、初診時に「昔と比べて顔の輪郭がぼやけてきた」「ほうれい線が深くなった」と相談される患者さまも少なくありません。
たるみの原因は、大きく分けて「内的要因(加齢による変化)」と「外的要因(環境による影響)」の二つが考えられます。これらの要因が複雑に絡み合い、皮膚の弾力性や支持構造が徐々に失われていきます。
加齢による内的要因
加齢はたるみの最も主要な原因です。年齢を重ねるごとに、皮膚の真皮層や皮下組織に様々な変化が生じます。
- コラーゲンとエラスチンの減少・変性: 真皮の約70%を占めるコラーゲンは、皮膚の強度を保つ線維状のタンパク質です。エラスチンは、皮膚の弾力性や伸縮性を与えるタンパク質です。加齢により、これらの生成能力が低下し、既存の線維も劣化・断裂しやすくなります[1]。これにより、皮膚はハリを失い、たるみやすくなります。
- ヒアルロン酸の減少: ヒアルロン酸は、皮膚の水分を保持し、潤いやふっくら感を保つ役割があります。加齢とともにヒアルロン酸の量も減少し、皮膚の保水力が低下することで、乾燥やしわ、たるみが進行しやすくなります。
- 表情筋の衰え: 顔の表情筋は、皮膚を支える役割も担っています。加齢や表情の癖によって特定の筋肉が衰えたり、硬くなったりすることで、皮膚を十分に支えられなくなり、たるみを引き起こすことがあります。
- 皮下脂肪の変化: 皮下脂肪は、皮膚のボリュームを保ち、クッションのような役割を果たします。加齢により、特定の部位の脂肪が減少したり、逆に増加して重力で下垂したりすることで、たるみや顔の輪郭の変化が生じます。
- 骨密度の低下: 顔の骨格は皮膚や組織を支える土台です。加齢による骨密度の低下や骨吸収(骨が溶けること)は、顔の骨格を変化させ、結果として皮膚のたるみを助長すると考えられています。
- 真皮層(Dermis)
- 皮膚の表皮の下にある層で、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの線維や基質が豊富に含まれ、皮膚の弾力性、強度、水分保持に重要な役割を果たしています。
外的要因による影響
加齢だけでなく、日常生活における様々な外的要因もたるみを加速させます。臨床の現場では、同じ年齢でも生活習慣によって肌の状態が大きく異なるケースをよく経験します。
- 紫外線(光老化): 紫外線は、皮膚のコラーゲンやエラスチンを破壊し、その生成を阻害する最大の要因の一つです。特にUVAは真皮深くまで到達し、光老化と呼ばれる肌の早期老化を引き起こし、たるみやしわを進行させます[3]。
- 酸化ストレス: 紫外線、大気汚染、喫煙、ストレスなどによって体内で発生する活性酸素は、細胞を傷つけ、コラーゲンやエラスチンの劣化を促進します。これにより、肌の弾力性が失われ、たるみにつながります。
- 糖化: 糖質の過剰摂取により体内で余分な糖とタンパク質が結合し、「AGEs(終末糖化産物)」が生成される現象です。AGEsはコラーゲン線維を硬く、もろく変性させ、肌の弾力性を低下させると考えられています。
- 乾燥: 皮膚が慢性的に乾燥すると、バリア機能が低下し、外部刺激を受けやすくなります。これにより、真皮のコラーゲンやエラスチンがダメージを受けやすくなり、たるみを進行させる可能性があります。
- 生活習慣: 睡眠不足、栄養バランスの偏り、過度なダイエットによる急激な体重減少、喫煙なども、肌の健康状態を悪化させ、たるみを助長する要因となります。
これらの内外の要因を理解し、適切な対策を講じることが、たるみの予防と改善には不可欠です。例えば、紫外線対策を徹底し、バランスの取れた食生活を心がけることは、たるみケアの基本となります。
たるみの美容医療とは?

たるみの美容医療は、セルフケアでは改善が難しいとされる肌のたるみに対し、医療技術を用いてアプローチする治療法です。当院では、患者さま一人ひとりのたるみの状態、原因、ライフスタイル、そしてダウンタイムの許容度を考慮し、最適な治療プランを提案することを重視しています。治療を始めて数ヶ月ほどで「ファンデーションのノリが良くなった」「フェイスラインがすっきりした」とおっしゃる方が多いです。
美容医療の選択肢は多岐にわたり、大きく分けて「非侵襲的治療」「低侵襲的治療」「外科的治療」に分類されます。それぞれの治療法には特徴があり、期待できる効果やダウンタイムも異なります。
非侵襲的治療(メスを使わない治療)
皮膚を切開することなく、外部からエネルギーを照射したり、薬剤を注入したりすることでたるみを改善する治療法です。ダウンタイムが比較的短く、手軽に受けやすいのが特徴です。
- 高密度焦点式超音波(HIFU/ハイフ): 超音波エネルギーを皮膚の深層(SMAS層など)に集束させ、熱凝固を起こすことで組織を引き締め、コラーゲン生成を促進します。フェイスラインの引き締めやほうれい線の改善に期待が持てます。
- 高周波(RF)治療: 高周波エネルギーを皮膚に照射し、真皮層全体を加熱することで、コラーゲンの収縮と再構築を促します。肌のハリ感アップや小じわの改善に役立つとされています。
- レーザー治療: 特定の波長のレーザーを照射し、真皮層のコラーゲン生成を刺激したり、肌表面の引き締めを促したりします。肌質改善と同時に軽度のたるみケアに用いられることがあります。
- 注入療法(ヒアルロン酸、コラーゲンブースターなど): 減少したボリュームを補ったり、コラーゲン生成を促す薬剤を注入したりすることで、たるみを持ち上げたり、ハリを出したりします。特にヒアルロン酸は、顔の特定の部位のボリュームロスによるたるみ改善に有効とされています。
低侵襲的治療(メスを使わないが、より積極的な治療)
非侵襲的治療よりも効果が高く、外科手術よりは負担が少ない治療法です。
- スレッドリフト(糸リフト): 特殊な医療用の糸を皮膚の下に挿入し、たるんだ組織を引き上げる治療です。糸の周りにコラーゲンが生成されることで、長期的な引き締め効果も期待できます[2]。フェイスラインの引き上げやほうれい線の改善に用いられます。
- マイクロニードルRF: 微細な針を皮膚に刺入し、その先端から高周波エネルギーを照射することで、真皮層に直接熱を届け、コラーゲンとエラスチンの生成を強力に促進します。肌の引き締めやニキビ跡の改善にも応用されます。
外科的治療(フェイスリフトなど)
たるみが重度で、非侵襲的・低侵襲的治療では十分な効果が期待できない場合に検討される治療法です。根本的な改善を目指せますが、ダウンタイムが長く、費用も高くなる傾向があります。
- フェイスリフト: 皮膚を切開し、たるんだ皮膚やSMAS(表在性筋膜腱膜系)を引き上げて余分な組織を切除することで、根本的なたるみ改善を目指します。顔全体のたるみや首のたるみに効果が期待できます。
- ミニリフト: フェイスリフトよりも切開範囲が小さく、ダウンタイムも短い術式です。主に頬や顎のたるみに焦点を当てて行われます。
美容医療の治療選択にあたっては、医師との十分なカウンセリングが不可欠です。ご自身の肌の状態、期待する効果、ダウンタイムの許容範囲、費用などを総合的に考慮し、納得のいく治療法を選ぶことが重要です。また、治療には個人差があり、必ずしも期待通りの効果が得られるとは限りません。
たるみ治療法の比較
各治療法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。実際の診療では、患者さまの具体的な悩みに合わせて、これらの治療法を単独で、あるいは組み合わせて提案することが多いです。
| 治療法 | 主な効果 | ダウンタイム | 持続期間(目安) |
|---|---|---|---|
| HIFU | 引き締め、リフトアップ | ほぼなし〜数日 | 半年〜1年 |
| RF治療 | 肌のハリ、小じわ改善 | ほぼなし〜数日 | 数ヶ月〜半年 |
| スレッドリフト | フェイスライン引き上げ | 数日〜1週間 | 1年〜2年 |
| ヒアルロン酸注入 | ボリューム補填、リフトアップ | ほぼなし〜数日 | 半年〜2年 |
| フェイスリフト | 根本的なたるみ改善 | 数週間〜数ヶ月 | 5年〜10年以上 |
どの治療法を選択するかは、個人の肌の状態、たるみの程度、期待する効果、予算、そしてダウンタイムの許容範囲によって大きく異なります。専門医としっかり相談し、ご自身に最適な治療プランを見つけることが重要です。また、遺伝子治療などの新しいアプローチも研究されており、今後の発展が期待されています[4]。
まとめ

たるみは、加齢による皮膚内部の変化と、紫外線や生活習慣などの外的要因が複合的に作用して生じる肌の悩みです。コラーゲンやエラスチンの減少、ヒアルロン酸の低下、表情筋や皮下脂肪の変化などが主な原因として挙げられます。たるみの予防には、紫外線対策、適切なスキンケア、バランスの取れた食生活が重要です。
美容医療では、たるみの程度や個人の希望に応じて、HIFUやRF治療、注入療法といった非侵襲的な方法から、スレッドリフトのような低侵襲治療、さらにはフェイスリフトなどの外科的治療まで、幅広い選択肢があります。これらの治療は、肌の引き締め、ハリの回復、フェイスラインの改善などに期待が持てます。ご自身の状態に合った最適な治療法を見つけるためには、医療機関での専門的なカウンセリングが不可欠です。
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- Françoise Boismal, Kevin Serror, Gabor Dobos et al.. [Skin aging: Pathophysiology and innovative therapies].. Medecine sciences : M/S. 2021. PMID: 33296633. DOI: 10.1051/medsci/2020232
- Shoubing Zhang, Enkui Duan. Fighting against Skin Aging: The Way from Bench to Bedside.. Cell transplantation. 2019. PMID: 29692196. DOI: 10.1177/0963689717725755
- Ramadan S Hussein, Salman Bin Dayel, Othman Abahussein et al.. Influences on Skin and Intrinsic Aging: Biological, Environmental, and Therapeutic Insights.. Journal of cosmetic dermatology. 2025. PMID: 39604792. DOI: 10.1111/jocd.16688
- Fawzy A Saad. Gene Therapy for Skin Aging.. Current gene therapy. 2024. PMID: 38529607. DOI: 10.2174/0115665232286489240320051925
- アドリアシン(カウンセリン)添付文書(JAPIC)
