- ✓ イボは主にヒトパピローマウイルス感染によって引き起こされ、種類によって特徴が異なります。
- ✓ 液体窒素療法やレーザー治療、内服薬など、イボの種類や状態に応じた多様な治療法があります。
- ✓ 早期の診断と適切な治療が、イボの拡大や再発を防ぐ上で重要です。
イボ(疣贅)は、皮膚や粘膜にできる小さな隆起性病変の総称で、その多くはウイルス感染が原因です。見た目の問題だけでなく、痛みやかゆみを伴うこともあり、適切な診断と治療が求められます。
イボの種類と原因とは?

イボの多くはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが皮膚の細胞に感染することで発生します。このウイルスは皮膚の小さな傷から侵入し、細胞の増殖を促すことで皮膚が盛り上がり、イボとして現れるのです。臨床の現場では、特に足の裏にできる足底疣贅(そくていゆうぜい)で、初診時に「魚の目だと思って市販薬を使っていたけれど治らない」と相談される患者さまも少なくありません。正確な診断が治療の第一歩となります。
イボの主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)感染
イボの約90%はヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因とされています[1]。HPVは100種類以上の型があり、型によって引き起こされるイボの種類や好発部位が異なります。例えば、尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)の多くはHPV2型、4型、7型によって引き起こされ、足底疣贅はHPV1型、2型が主な原因です[1]。ウイルスは直接的な接触や、タオル、床などを介して感染することがあります。
- ヒトパピローマウイルス(HPV)
- 皮膚や粘膜に感染するウイルスの一種で、イボの主な原因となる。子宮頸がんの原因となる高リスク型HPVとは異なり、皮膚にできるイボの多くは低リスク型HPVによって引き起こされる。
イボの種類とその特徴
イボにはいくつかの種類があり、それぞれ見た目や好発部位が異なります。主なイボの種類を以下に示します。
- 尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい):最も一般的なイボで、手足、特に指や手のひら、足の裏によく見られます。表面がザラザラしており、硬く盛り上がった形が特徴です。
- 足底疣贅(そくていゆうぜい):足の裏にできるイボで、体重がかかることで平らになり、表面が硬くなることが多いです。魚の目と間違えられやすいですが、削ると点状出血が見られることがあります[1]。
- 扁平疣贅(へんぺいゆうぜい):顔や手の甲、腕によく見られる、平らでわずかに隆起したイボです。肌色ややや褐色を帯びており、多発することがあります。
- 尖圭コンジローマ:性器や肛門周囲にできるイボで、性感染症の一種です。カリフラワー状の形態を呈することがあり、治療が必要です[3]。
- ミルメシア:足底疣贅の一種で、特に深く根を張るタイプのイボです。痛みを生じやすい傾向があります。
感染経路とリスク要因
HPVは非常にありふれたウイルスであり、日常生活の中で感染する機会は少なくありません。感染経路としては、主に以下のようなものが挙げられます。
- 直接接触:イボのある皮膚との直接的な接触。
- 間接接触:公衆浴場、プールサイド、ジムのシャワールームなど、裸足で歩く場所や共用のタオルなどを介して。
- 自己接種:既存のイボを引っ掻いたり触ったりすることで、ウイルスが他の部位に広がる。
特に、皮膚に小さな傷がある場合や、免疫力が低下している場合に感染しやすくなります。子供は免疫システムが未熟なため、大人よりもイボができやすい傾向があります。当院では、お子様の手にできたイボが、兄弟や家族に広がってしまったというケースをよく経験します。早期に治療を開始することで、拡大を防ぐことが期待できます。
イボは自然治癒することもありますが、放置すると数が増えたり大きくなったりする可能性があります。また、自己判断で削ったり市販薬を使用したりすることで、かえって悪化させたり、他の部位に広げてしまったりするリスクも考えられます。疑わしい症状がある場合は、皮膚科専門医への受診をおすすめします。
イボの治療法と選択肢は?

イボの治療法は多岐にわたり、イボの種類、大きさ、数、部位、患者さんの年齢や健康状態によって最適な方法が選択されます。実際の診療では、患者さまのライフスタイルや痛みの許容度なども考慮しながら、最も効果的で負担の少ない治療法を提案することが重要なポイントになります。治療を始めて数ヶ月ほどで「イボが小さくなってきた」「痛みがなくなった」とおっしゃる方が多いです。
一般的なイボの治療法
イボの治療は主に、ウイルスに感染した細胞を破壊したり、免疫反応を活性化させたりすることを目的としています。代表的な治療法は以下の通りです。
- 液体窒素療法(冷凍凝固療法):最も広く行われている治療法の一つです。-196℃の液体窒素を綿棒などでイボに直接塗布し、ウイルスに感染した細胞を凍結・壊死させます。数週間に一度のペースで繰り返し治療を行うことで、徐々にイボが小さくなり、最終的に脱落することが期待できます[2]。治療中に痛みや水ぶくれが生じることがありますが、効果的な治療法です。
- サリチル酸外用薬:角質を軟化・剥離させる作用を持つサリチル酸を配合した外用薬を使用します。市販薬としても利用可能ですが、医療機関で処方される高濃度のものはより効果が期待できます。毎日継続して塗布することで、イボを徐々に削り取っていく治療法です。
- 電気焼灼術:電気メスを用いてイボを焼き切る治療法です。比較的小さなイボや、液体窒素療法で効果が見られない場合に選択されることがあります。局所麻酔下で行われるため、痛みはほとんどありません。
- レーザー治療:炭酸ガスレーザーやパルス色素レーザーなどが用いられます。炭酸ガスレーザーはイボを蒸散させて除去し、パルス色素レーザーはイボへの血流を供給する血管を破壊することでイボを壊死させます[4]。特に、液体窒素療法で治りにくいイボや、美容的な観点から傷跡を残したくない場合に検討されます。
- 内服療法:ヨクイニンというハトムギ由来の生薬が用いられることがあります。免疫力を高め、イボの自然治癒を促す作用があるとされています。即効性はありませんが、特に多発性のイボや子供のイボに対して選択されることがあります。
- 外科的切除:非常に大きく、他の治療法では除去が難しいイボに対して行われることがあります。切除後には縫合が必要となり、傷跡が残る可能性があります。
イボの種類別治療法の比較
イボの種類や状態によって、推奨される治療法は異なります。以下に一般的なイボとその治療法の比較を示します。
| イボの種類 | 好発部位 | 主な治療法 |
|---|---|---|
| 尋常性疣贅 | 手足、指 | 液体窒素療法、サリチル酸外用、電気焼灼、レーザー治療 |
| 足底疣贅 | 足の裏 | 液体窒素療法、サリチル酸外用、電気焼灼、レーザー治療 |
| 扁平疣贅 | 顔、手の甲、腕 | 液体窒素療法(軽度)、サリチル酸外用、レーザー治療、内服療法(ヨクイニン) |
| 尖圭コンジローマ | 性器、肛門周囲 | 液体窒素療法、電気焼灼、レーザー治療、外科的切除、外用薬(イミキモドなど) |
治療の注意点と再発について
イボの治療は、一度で完治するとは限りません。特にウイルス性のイボは、ウイルスの活動状況や免疫の状態によって再発することがあります。液体窒素療法では、治療間隔が短すぎると炎症が強く出すぎたり、長すぎると効果が薄れたりするため、医師の指示に従った定期的な通院が重要です。当院では、治療後の経過観察を丁寧に行い、再発の兆候がないか、また治療による色素沈着などの合併症がないかを確認しています。
また、治療中に痛みや水ぶくれが生じた場合は、無理に潰したりせず、清潔に保つことが感染予防につながります。治療後は、皮膚のバリア機能を保つために保湿を心がけ、免疫力を維持することも再発予防に役立つと考えられます。
イボの治療は、自己判断で行うと症状を悪化させたり、他の部位に広げたりするリスクがあります。特に、顔やデリケートな部位のイボ、痛みや出血を伴うイボ、急速に大きくなるイボなどは、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
まとめ

イボ(疣贅)は、主にヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって引き起こされる皮膚の良性腫瘍です。尋常性疣贅、足底疣贅、扁平疣贅など様々な種類があり、それぞれ特徴や好発部位が異なります。感染は直接接触や間接接触で起こり、皮膚の小さな傷や免疫力の低下がリスク要因となります。
治療法としては、液体窒素療法、サリチル酸外用薬、電気焼灼術、レーザー治療、内服療法(ヨクイニン)、外科的切除などがあり、イボの種類や状態、患者さんの希望に応じて最適な方法が選択されます。治療は複数回にわたることが多く、再発のリスクもあるため、医師の指示に従い、根気強く治療を続けることが重要です。自己判断での処置は避け、イボが疑われる場合は皮膚科専門医に相談し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
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- Dexter Jordan Witchey, Nichole Brianne Witchey, Michele Marie Roth-Kauffman et al.. Plantar Warts: Epidemiology, Pathophysiology, and Clinical Management.. The Journal of the American Osteopathic Association. 2019. PMID: 29379975. DOI: 10.7556/jaoa.2018.024
- Steven King-Fan Loo, William Yuk-Ming Tang. Warts (non-genital).. BMJ clinical evidence. 2018. PMID: 24921240
- M Sporkert, A Rübben. [Buschke-Lowenstein tumors].. Der Hautarzt; Zeitschrift fur Dermatologie, Venerologie, und verwandte Gebiete. 2017. PMID: 28074214. DOI: 10.1007/s00105-016-3924-x
- H M Ockenfels, S Hammes. [Laser treatment of warts].. Der Hautarzt; Zeitschrift fur Dermatologie, Venerologie, und verwandte Gebiete. 2008. PMID: 18214400. DOI: 10.1007/s00105-007-1468-9
