疥癬(かいせん)の症状と治療

【疥癬(かいせん)の症状と治療】|医師が解説

最終更新日: 2026-04-06
📋 この記事のポイント
  • ✓ 疥癬はヒゼンダニが皮膚に寄生することで発症し、強いかゆみが特徴です。
  • ✓ 診断には特徴的な皮疹の観察と、顕微鏡によるダニの確認が重要です。
  • ✓ 治療は内服薬や外用薬が用いられ、家族や周囲の接触者も同時に治療することが推奨されます。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

疥癬の基礎知識と治療

皮膚に寄生するヒゼンダニと疥癬トンネル、発疹や強いかゆみの症状
疥癬の症状とヒゼンダニ

疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei var. hominis)という非常に小さなダニが皮膚の角質層に寄生することで引き起こされる皮膚疾患です。強いかゆみを伴う特徴的な皮疹が現れ、適切な診断と治療が重要となります。

疥癬とはどのような病気?

疥癬は、ヒゼンダニが皮膚に寄生し、皮膚内でトンネルを掘り進みながら卵を産み、糞をすることでアレルギー反応を引き起こす感染症です。このダニは肉眼ではほとんど見えず、その大きさは約0.2〜0.4mm程度です。人から人への直接的な接触(皮膚と皮膚の接触)によって感染することがほとんどで、特に長時間の接触や、寝具などを介した間接的な接触でも感染する可能性があります[4]。当院では、高齢者施設や病院内での集団発生をきっかけに受診される患者さまが多くいらっしゃいます。

ヒゼンダニ
疥癬の原因となるダニの一種で、体長0.2〜0.4mm。皮膚の角質層に寄生し、トンネルを掘って卵や糞を残します。ヒトに寄生するヒゼンダニは、主にヒトからヒトへ感染します。

疥癬の主な症状とは?

疥癬の主な症状は、激しいかゆみと特徴的な皮膚の発疹です。特に夜間、体が温まるとかゆみが強くなる傾向があります。これは、ダニの活動が活発になることや、体温上昇によってアレルギー反応が強まるためと考えられています。

  • 疥癬トンネル(Burrow): ダニが皮膚の表面に掘った数mm〜1cm程度の線状の隆起で、先端に小さな丘疹や水疱が見られることがあります。指の間、手首、肘、脇の下、下腹部、陰部などに多く見られます。
  • 丘疹(きゅうしん): 赤みを帯びた小さなブツブツで、かゆみが強く、掻きむしることで二次感染を起こすこともあります。
  • 結節(けっせつ): 特に陰部や脇の下に、しこりのような赤褐色の結節が見られることがあります。これはダニに対する強いアレルギー反応と考えられています。

これらの症状は、感染してから約1ヶ月程度の潜伏期間を経て現れることが多いです。臨床の現場では、初診時に「夜中に全身が痒くて眠れない」と相談される患者さまも少なくありません。

⚠️ 注意点

高齢者や免疫力が低下している方、ステロイド外用薬を常用している方などでは、症状が非典型的であったり、重症型の「角化型疥癬(ノルウェー疥癬)」を発症したりする場合があります。角化型疥癬は通常の疥癬よりもダニの数が非常に多く、感染力が強いため、特に注意が必要です[4]

疥癬の診断方法とは?

疥癬の診断は、主に臨床症状と顕微鏡検査によって行われます。特徴的な皮疹の分布や夜間の強いかゆみといった問診情報が重要です。実際の診療では、患者さんの皮膚を丁寧に観察し、疥癬トンネルや丘疹、結節の有無を確認します。

  1. 視診と問診: かゆみの部位、時間帯、家族や周囲に同様の症状の人がいないかなどを詳しく聞きます。
  2. ダーモスコピー検査: ダーモスコープという拡大鏡を用いて、疥癬トンネルの先端にいるダニや卵、糞便などを観察します。これにより、ダニの存在を間接的に確認できることがあります。
  3. 顕微鏡検査: 疥癬トンネルの先端や丘疹の一部をメスで軽く削り取り、顕微鏡で直接ヒゼンダニやその卵、糞便を確認します。これが疥癬の確定診断に最も確実な方法とされています。

これらの診断手順は、他の皮膚疾患(湿疹、アトピー性皮膚炎など)との鑑別にも役立ちます。臨床の現場では、典型的な症状がない場合でも、家族内感染が疑われるケースでは積極的に検査を行うことが重要だと実感しています。

疥癬の治療方法と薬には何がある?

疥癬の治療は、主にダニを駆除するための内服薬と外用薬が用いられます[1]。治療の成功には、患者さんだけでなく、同居家族や密接な接触者も同時に治療することが非常に重要です。これは、無症状の感染者がいると再感染のリスクが高まるためです[5]

主な治療薬

  • イベルメクチン(内服薬): 成人に対して、体重に応じて1回服用し、1週間後に再度1回服用する治療法が一般的です。ダニの神経に作用して駆除します。特に広範囲に症状がある場合や、外用薬の塗布が難しい場合に有効です[2]
  • フェノトリン(外用薬): シャンプーやローションとして使用され、全身に塗布して一定時間後に洗い流します。通常は1週間間隔で2回使用します。
  • クロタミトン(外用薬): かゆみ止めの効果も期待できる外用薬で、ダニの駆除効果もあります。連日塗布することが多いです。

治療を始めて1ヶ月ほどで「夜間のかゆみが減った」「発疹が目立たなくなった」とおっしゃる方が多いですが、かゆみはダニの死骸に対するアレルギー反応としてしばらく残ることがあります。治療後も症状が続く場合は、再感染や治療抵抗性の可能性も考慮し、医師による再評価が必要です[3]

治療中の注意点

  • 寝具や衣類の洗濯・乾燥: ダニは熱に弱いため、使用した寝具や衣類は50℃以上の熱湯に10分以上浸すか、乾燥機で乾燥させることが推奨されます。
  • 部屋の清掃: 掃除機で丁寧に清掃し、ダニの生息環境を減らすことが大切です。
  • 家族・接触者の同時治療: 無症状でも感染している可能性があるため、医師の指示に従い、接触者も同時に治療を開始することが再感染防止に不可欠です。

実際の診療では、治療薬の適切な使用方法だけでなく、これらの環境整備についても詳しく説明し、再発防止に努めています。特に、高齢者施設などでの集団発生時には、施設全体での対策が非常に重要なポイントになります。

治療法主な薬剤特徴
内服薬イベルメクチン1回または2回服用で全身のダニを駆除。広範囲の症状や外用薬が難しい場合に有効。
外用薬フェノトリンローション全身に塗布し、一定時間後に洗い流す。通常1週間間隔で2回使用。
外用薬クロタミトンクリームかゆみ止め効果も期待できる。連日塗布。

まとめ

疥癬の診断から治療、予防までをまとめた皮膚科医の診療風景
疥癬治療の全体像

疥癬はヒゼンダニの寄生によって引き起こされる強いかゆみを伴う皮膚疾患です。特徴的な皮疹や夜間の激しいかゆみが主な症状であり、診断には顕微鏡によるダニの確認が最も確実です。治療は内服薬や外用薬が用いられ、患者さんだけでなく、家族や周囲の接触者も同時に治療することが再感染防止のために非常に重要です。治療後もかゆみが続くことがありますが、適切なケアと環境整備を行うことで、症状の改善が期待できます。症状に心当たりのある方は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。

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疥癬に関するよくある質問に答える医師と患者の対話
疥癬のよくある質問

よくある質問(FAQ)

疥癬はどのように感染しますか?
疥癬は主に、感染者との長時間の直接的な皮膚接触によって感染します。また、寝具や衣類を介した間接的な接触でも感染する可能性があり、特に角化型疥癬の場合は感染力が非常に強いとされています。
疥癬の治療期間はどれくらいですか?
治療期間は、使用する薬剤の種類や症状の重症度によって異なります。内服薬は1〜2回の服用で効果が期待できますが、外用薬は数日から数週間の継続的な塗布が必要となる場合があります。かゆみはダニが駆除された後も数週間残ることがあるため、医師の指示に従って治療を継続し、定期的な診察を受けることが重要です。
疥癬を予防するためにできることはありますか?
疥癬の予防には、感染者との密接な接触を避けることが最も重要です。もし周囲に感染者がいる場合は、寝具や衣類の共有を避け、こまめに洗濯・乾燥(50℃以上の熱でダニを死滅させる)を行うことが有効です。また、手洗いや部屋の清掃も心がけましょう。
この記事の監修医
👨‍⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長